研究分担者 |
SHARMA M. トリブバン大学, 教授
JOSHI K.K. トリブバン大学, 講師
GAUTAM P トリブバン大学, 講師
DHITAL M.R. トリブバン大学, 講師
UPRETI B.N. トリブバン大学, 助教授
小池 文人 島根大学, 生物資源科学部, 講師 (20202054)
國井 秀伸 島根大学, 汽水域研究センター, 助教授 (70161651)
中山 勝博 島根大学, 総合理工学部, 助教授 (20243420)
高須 晃 島根大学, 総合理工学部, 助教授 (00183848)
高安 克巳 島根大学, 汽水域研究センター, 教授 (00127490)
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研究概要 |
ポカラ盆地湖沼群の地形・底質調査・フェア,ベグナス,ルパの各湖でSH-20底質探査器を用いて湖底地形の調査をGPSを併用して行った。柱状採泥器により3湖で各1試料を採取し,現地で各2cmにカット及び軟X線用試料を作成し,帰国後に各種の分析を行った。これらの湖はヒマラヤからの洪水時の土石様堆積物のつくる東西方向の扇状地の前進によって小河川がせき止められたことによって形成されたものであり,埋積状況が地形から,また形成が柱状採泥から明らかにされる。Pb年代測定は現在継続中であり,洪水記録は4回が堆積物中に記録されているので,過去数100年間の低ヒマラヤ帯から高ヒマラヤ帯での環境変化が明らかにされると期待される。現地での伝承でいうポカラ湖の存在も上記から吟味可能となった。 シワリク層の層序・古生物調査:従来のシワリク層の国際学術研究の成果にもとづいてブトワルからナラヤンガート間のシワリク層の地質調査を行い,とくにB層(中新-鮮新統)の軟体動物化石の採集を行った。とくに二枚貝化石についてはヒマラヤ前縁帯のシワリク層がよく調査研究されているにもかかわらず系統的な記載がなされていなかったことから多くの淡水貝について検討し,8種の淡水貝についての記載を行い,報告した。ヒマラヤの上昇によるインド及びチベットの生物地理区の分化の歴史を知る上で基礎となる成果が得られた。堆積学的調査はとくにシワリク層上部に多く挟有される礫質堆積物についてビナイコーラ(川)上流域で詳しい調査が行われた。これによりヒマラヤの上昇が最後の数10万年において急激に起ったこと,その上昇は低ヒマラヤ帯からシワリク帯にまでおよんだことが明らかになった。 低ヒマラヤ-高ヒマラヤ帯の岩石学的・年代学的研究:従来から一連の国際学術研究で成果の得られているカトマンズ北方地帯についてヒマラヤ花崗岩の形成とそれによる熱史の解読を中心に調査が行われた。平成6年度に行ったカトマンズ地域の調査によって得られた変成岩試料の記載岩石学的研究を行うとともに,分離した白雲母の^<40>Ar/^<39>Ar年代測定を行った。その結果,弱変成クンチャ砂岩及びヒマラヤ片麻岩より18Ma前後の年代を得,この地域におけるMCTスラストの活動が18Ma頃まで引き続いたことが明らかになった。また,その西方に連続するポカラ地域の調査を行い,採取した岩石試料の記載を行った。そこで得られた試料については,^<40>Ar/^<39>Ar年代測定がアメリカのジョージア大学との共同研究として現在継続中である。 カトマンズ盆地における植物生態学的調査:前年度に引続いてカトマンズ北方地域のナガルジュン王立林の亜熱帯極相林において0.25haの調査区を設定し,極相木本種の最大高と全天写真による幼樹の耐陰性の測定を行った。また,極相木に出現しない種の特性を推定するために,林道沿いの2次林性の種を含めた樹木の最大高と耐陰性を測定した。 今年度調査においても各専門分野ごとにトリブバン大学の研究者・院生をパートナーとして共同研究を行い,成果をあげるとともに,トリブバン大学の研究の進展に寄与するように配慮を行った。また,トリブバン大学学長をはじめ大学主脳部と協議を行い,今後の自然科学分野の共同研究の在り方について留学生の派遣などを申し合わせた。招へいにおいてはRectorのM.シャルマ教授の来日が実現し,ヒマラヤの地質研究の相互討論とともに大学間の協力研究についても協議を行い,交流の具体化についての検討がなされた。
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