研究課題
平成5年度は、当初の計画に従いまず第一次活動として、日本側の戸倉清一と西則雄両教授が平成5年8月12日より同年8月21日までポーランド国ウッジ工科大学へ出張してキチン・キトサンの精製法について講義すると共に、テフロンメッシュ型人工血管の内壁ヘキトサンを均一に塗布後γ線照射で固定化さ抗血栓性内壁に変換させる技術について指導した。先方の参加者は大学院学生を含めて17人でいずれも大変熱心に聴講していた。この際ポーランド国等の東欧圏で極く普遍的と言われる人体への直接投与については、人命にも係わりのあることなので事前に当方と十分打ち合わせを行なうよう厳重に注意を促した。またポーランド側と数次に亘り本計画の年次計画について話し合いを持った。その結果、平成5年度はG.ウルバンチェク教授とL.ショスランド講師が來日しキチン・キトサンの紡糸法について実地を交えて討論をすることとなった。第二次活動は同年11月28日より12月6日まで年次計画に従いポーランド側のウッジ工科大学 G.ウルバンチェク教授と L.ショスランド講師が來日し、予定どうりキチン・キトサンの紡糸について当方の技術を開示した。またこの際調製されたキチン及びキトサン繊維の結晶構造について当方のX線解析装置を使って解析を行ない、分子の配向性や結晶構造についての研究を行なった。これら一連の活動についてポーランド側では高く評価されている。この際理学研究科内の諸設備を見学したが、諸機器のレベルの高さに驚くと同時にスペースの狭さにも驚きを隠さなかった。これら一連の活動は英文の冊子にまとめられウッジ工科大学出版部から近く出版される予定である。本冊子はポーランドにおけるキチン・キトサンの研究のテキストブックとなるものと期待されている。