研究課題
国際学術研究
過去2年間の実績を踏まえ、平成7年9月湘潭大学にて羅教授及び劉助教授と鹿児島大学幡手研究室で考案されたドラフトチューブ付き噴流層型石炭ガス化装置に関して、その機能等につき詳細な打ち合わせを行った。これを受けて、平成7年12月から3ケ月かけて鹿児島大学にて石炭ガス化装置の現状のホットモデルによる実証試験の最終的な打ち合わせ及び実験が実施された。本装置は1kg/hの石炭処理能力を持ち、基本的には常圧、800℃程度の比較的低温における炭酸カリウム担持石炭粒子と水蒸気との連続反応装置である。実験方法及び結果は以下の通りであった。先ずジャケットヒーターのみで昇温を行い、装置内温度が約300℃に達したところで予め充填しておいたセラミック粒子を循環させた。プロパンの自然発火点(約520℃)に達するとLPGを供給し、さらに水素の自然発火点(約610℃)に達するとLPGを止めて水素を供給した。装置内温度が約800℃になると水蒸気を供給し、温度が一定になったところで石炭を投入し実験を開始した。サンプリングをアニュラス側出口、サイクロン側出口より適時行い、ガスクロマトグラフによりガス組成を分析した。発生ガスはほとんど水素、一酸化炭素、二酸化炭素で構成されており、特に水素に関していえば、50%以上を占める。また、ほぼ完全な定常運転が実現され、安定操業が達成できたといえる。ほとんどの実験で石炭のガス化率は100%を達成し、本装置は実用性の極めて高い装置であることがわかり、共同研究者の羅教授らは本研究開発の自国におけるクリーンエネルギー確保のため研究の継続を強く希望した。本科学研究費補助金の主旨を踏まえて今後とも本研究を共同研究としてお互いに発展させることとした。上述のように3年間にわたる1kg/hの装置の実証試験に引き続き、熱収支(熱供給方法等)を大幅に改善した2〜3kg/hの石炭処理能力を備えた装置の設置及び製作を行った。当該年度内の運転までには至らなかったが今後が大変に期待できるものである。本研究は実験による実証試験と並んで結果の解析も重要であり、羅教授が主となってガス化の理論的考察を進め、ある程度の進展を達成した。バイブロミキサ-の性能につき、水道水・空気系及び水道水・酸素系を用いて検討した。酸素の気疫界面間移動の容量係数に及ぼすガス供給速度及びバイブロミキサ-振動数の影響を測定した。その結果、軸方向混合拡散係数及び容量係数についての知見を得ることができ、バイブロミキサ-は気泡搭型反応器とほぼ同様の性能を持つことが示された。
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