研究課題/領域番号 |
05045034
|
研究機関 | 芝浦工業大学 |
研究代表者 |
長友 隆男 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (70052868)
|
研究分担者 |
魏 光普 上海科学技術大学, 材料科学系, 教授
張 志林 上海科学技術大学, 材料科学系, 教授
米井 健治 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (50052816)
大本 修 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (60052693)
|
キーワード | 硫化錫 / 真空蒸着 / 価電子制御 / ヘテロ接合 / 光起電力効果 / 薄膜太陽電池 |
研究概要 |
本年度の研究計画は、(1)硫化錫薄膜(SnS)の組成制御、(2)接合型薄膜太陽電池の作製、を研究課題としている。真空蒸着で硫化錫薄膜を作製した。硫化錫薄膜は、(1)ガラス基板上に270℃以上で(040)面が優越配向する、(2)直接遷移形で、基礎吸収端1.48eV、(3)基礎吸収端近傍の吸収係数2×10^4cm^<-1>、(4)薄膜は弱いp形で、キャリア濃度1.2×10^<15>cm^<-3>、ホール移動度400cm^2/Vsなどの薄膜物性をもっている。結晶構造は擬NaCl形の斜方晶で、その格子定数はa=0.433nm,b=1.118nm,c=0.398nmである。このような薄膜物性を持つ硫化錫にn形ドーパント(5価の金属アンチモン)をドープして価電子制御を行ったが、抵抗率を2桁以上変化できるもののn形に反転することはできなかった。薄膜の欠陥や他の不純物が多く、ド-ピング効率が良くないと考えている。上海科学技術大学魏光普、張志林両教授の提案で、硫化亜鉛(ZnS)でよく行われている5族及び7族のドーパントを同時にドープすることを試みられているが現在までよい結果は得られていない。 n形の硫化錫薄膜を得ていないので、n-CdS/p-SnSヘテロ接合薄膜太陽電池を作製した。p-SnS側を正に、n-CdS側を負にバイアスした時に整流性を示し、ダイオード定数n=3.5、飽和電流密度J_0=2.38×10^<-4>A/cm^2、拡散電位0.56Vを得た。n-CdS/p-SnSヘテロ接合素子は、その容量電圧特性から階段型の接合を形成している。この素子の光起電力特性は100mW/cm^2の光照射下で、開放電圧0.1V、光電流7mA/cm^2、曲線因子0.42を得た。硫化錫薄膜を用いたヘテロ接合の光起電力効果を初めて確認した。
|