研究課題/領域番号 |
05045037
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 大学協力 |
研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
法貴 誠 三重大学, 生物資源学部, 教授 (00024589)
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研究分担者 |
バムルンウォン スラサク チェンマイ大学, 工学部, 副学部長
リンピディ スパサク チェンマイ大学, 農学部, 助教授
佐藤 邦夫 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (20126973)
BAMRUNGWONG Surasak Faculty of Engineering, Chiang Mai University Vice President
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研究期間 (年度) |
1993 – 1995
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キーワード | 大豆 / 損傷 / 力学的特性 / 収穫 / 機械化 |
研究概要 |
タイにおける大豆は蛋白質、脂肪およびビタミン源として重要な位置を占めてきた。また大豆の国内消費量は最近の家畜飼料の需要の増加のため大きく拡大している。このため大豆の不足を生じ輸入の増加を来すこととなった。 北タイは大豆の生産地として大きな位置を占めている。しかし大豆生産は未だ稲作のような機械かが進んでおらず、また品種の改良もこれからというのが現状である。大豆生産においては特に労力がかかる大豆の収穫・加工作業における機械化は重要な課題となっている。 本研究の目的はとくに問題として指摘されている大豆収穫と処理加工時の衝撃による損傷と品質低下を防止するための基礎研究である。このため含水率、衝撃方向、衝撃速度が大豆の品質や損傷に与える影響を明らかにした。さらに衝撃を加えた大豆の発芽試験を実施し、衝撃速度が発芽とその後の生長にいかなる影響を与えるかを調べた。これらを定量的に調べるため衝撃試験機の設計・製作した。 衝撃試験装置は大豆が脱穀・調製時に受けるのと同じ衝撃を実現させるべく、可変速モータによ衝撃チップを回転させる形式とした。試験機は回転式衝撃円盤とそれに時調されている大豆保持円盤から構成されている。衝撃円盤は可変速モーターとコントローラーにより回転速度を制御されている。大豆保持円盤の外周には直径1.3mmの小孔が直径方向に3個あり、これは大豆を保持しなないときに水銀柱130mmの真空圧システムに結合されている.円盤の小孔に手で特定の方向に置かれた大豆は衝撃円盤の外周に取り付けたチップにより衝撃を加えられるまで部分真空により保持される。チップで衝撃を与えられた大豆は衝撃円盤の接線方向に飛ばされ収集器の上に掛けられた布により受け止められる。 タイにおける代表的大豆品種のCM60を供試し速度および含水率を変化させた場合について前方および側方から衝撃を与えてそれらの影響を明からにした。その結果、速度6.1mm/sおよび12.9mm/sで衝撃を受けた大豆は,含水率10.7%から16.7%の範囲では可視的な損傷は生じなかった。衝撃速度が19.1mm/sおよび25.1mm/sのときは大豆に物理的損傷が生じた。大豆に対して前方から衝撃を与えた場合、側方からの衝撃に比べより大きな損傷が生じた。また含水率の低い大豆は高いものより損傷が多くなった。なお、衝撃速度と含水率との間には相関が見られた。 また、衝撃による損傷が見られなかった大豆であっても発芽率については衝撃により低下することが確認された。発芽に対する衝撃の影響は側方よりも前方から衝撃を受けたときにより大きかった。また、高速の衝撃に対しては低速の場合より発芽率が低下した。さらに、含水率が低い大豆は高いものと比べるとより大きく発芽率の低下見られた。 これらの実験結果から大豆の収穫・処理過程、すなはち脱穀、選別、搬送、貯蔵施設やプラントの設計において許容される衝撃力、速度を明らかにした。同時にそれらの条件下において要求される大豆の力学的特性を明らかに出来た。また、大豆の収穫、加工、調製時における損傷防止および収穫加工機械やプラントの適正運転につき具体的な基準を提供した。同時に収穫の機械化や加工・調製の各過程において損傷に強い品種の評価についても客観的基準データを得られるので大豆の品種改良に当たり資するところ大であると考えられる。
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