研究分担者 |
唐 暁軍 中国中医研究院, 中薬研究所, 助理研究員
小松 かつ子 富山医科薬科大学, 和漢薬研究所, 助手 (50225570)
門田 重利 富山医科薬科大学, 和漢薬研究所, 助教授 (90115163)
胡 世林 中国中医研究院, 中薬研究所, 教授
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研究概要 |
1.内蒙古自治区での調査:医学院,蒙医院,蒙医研究所での「モンゴル医学,伝統療法及び薬物について」の座談会から,同医薬学の概要が明らかになり,特に中医学,漢薬との違いが明瞭になった.一方,チベット医薬学とは外治療法,散剤の多用等以外は大差がなかった.また,モンゴル薬物として生薬約100種類,製剤約50種類を入手し得た. 2.仏教の二大名山での調査:五台山で過去または現在医療活動を行っていた寺は,武術を応用してかつて骨折の治療をしていた寺と甘粛省甘南州蔵医薬研究所の出先門診部のある寺のみだった.九華山でも,出家前に民間薬の知識を集めた僧または中医の経験のある僧が一部の寺で医療を行う程度であった. 3.福建省での調査:「〓南医僧述略」の報文等から,同地区における唐代〜現代の医僧として,名医の経験法を整理して医術を磨いた者,練丹術を取入れた者,武術を応用して按矯を行う者,中草薬を用いる者等が輩出したことが判った.彼らの根本理念は善行としての医療であり方法は問わない.現在,泉州と福州の2寺院の付属診療所で行われていた活動も同様で,泉州では中医と西洋医が診療に充たり,福州では中医の経験のある住持等が中草薬による腫瘤の治療をしていた.漢伝仏教系寺院での医療が仏教医学と定義できるものであるかは疑問である. 4.山西省中医薬研究院等での「仏教医学について」の座談会を通じて,仏教が唐代まで中医学に影響を与えていたことが判った(孫思〓著『千金方』に見られる「4大元素の平衡の乱れから404の病が生じる」という理論など).また,仏教の『龍樹眼論』も中医の眼科に大きな影響を与えていた.現在,仏典中の医薬学資料を検討中である. 5.蔵茵〓がSwertia mussotii,S.cinctaの全草であることを明らかにし,これらのエキスの血糖効果作用を日本産のS.japonicaなどと比較して検討した.また,チベット生薬「sPru-nag」等数種の基源を解明した.
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