研究課題/領域番号 |
05102001
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小林 俊一 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (90029471)
|
研究分担者 |
勝本 信吾 , 物性研究所, 助教授助手 (10185829)
大塚 洋一 , 低温センター, 助教授 (50126009)
|
キーワード | 微小トンネル接合 / KT転移 / 超伝導絶縁体転移 |
研究概要 |
本年度の研究は、計画通り順調に進行している。電子線りソグラフィーで作成したアルミニウムの微小接合の二次元系で、常伝導状態と超伝導状態のそれぞれについて、電荷Kosterlitz-Thouless転移の前駆現象を観測した。また、スズ微粒子の微小接合のランダムな二次元系で、超伝導状態の電荷Kosterlitz-Thouless転移の前駆現象を観測した。これらは、電荷Kosterlitz-Thouless転移の観測のはじめての実験である。 スズ微粒子の微小接合のランダムな二次元系で、ジョセフソン結合の強さと帯電エネルギーをパラメタとする相図の超伝導領域と絶縁体領域の境界を決めた。結果は微視的な理論の相図と定量的によく合う。 一次元接合列の二つをきわめて近くに置き、向かい合う電極の間に電気容量を持たせるとき、一方に電流を流すと、他方に逆方向の起電力が生じることを実験で観測した。これは電子相関のメゾスコピックな発現である。 単一の微小接合で、浮遊容量の影響なしに帯電効果を調べるには、インピーダンスの高い測定導線が必要である。その導線として微小接合の一次元列を使う実験を行っている。導線の抵抗が高いほど、クーロン閉塞がより明瞭に観測された。 一次元接合列の特性が、2端子測定と4端子測定では本質的に異なることが予想されるため、その検証のための予備実験を行った。 有限な幅を持つ、超伝導微小接合の二次元配列では、幅が有限であることが電荷Kosterlitz-Thouless転移を助長し、渦糸Kosterlitz-Thouless転移を抑制することを観測した。この現象は、試料端の鏡像電荷と鏡像渦糸の違いを考えると説明できることがわかった。 鋼微粒子の微小接合のランダムな二次元系で、磁気抵抗が粒子のサイズに依存する様子を調べた。系統的な変化が見られたが、機構の説明は難しい。
|