染色体分配において重要な役割をしているdis2がりん酸化タンパクであり、そのC末端に特有のcdc2キナーゼ標的配列があり、316番目のThrがM期前中期においてりん酸化され、このりん酸化によりdis2ホスファターゼ活性は強く阻害されることを明らかにした。dis2ホスファターゼの活性が染色体分配が起きる前まで強く阻害されており、染色体分配が起きる時から活性が増大しうる。cdc2キナーゼによるdis2の制御を明らかにした点でも染色体分配におけるdis2ホスファターゼの重要な役割の全面的理解に向けて重要な一歩が踏み出された(Yamano et al.EMBO J.1994)。dislタンパク質は染色体分配に必須で幾つかのドメインから成り立っている。微小管とppa2ホスファターゼとの相互作用が明かとなった。平岡泰郵政省先端研究所のグループとの共同研究により、減数分裂過程におけるセントロメァ・テロメアのダイナミック性について驚くべき知見が得られた(Chikashige et al.Science 1994)。栄養増殖においてはスピンドル極体SPBにおいては常に動原体が近傍にあり、テロメアはそれから離れたところにあるのにも関わらず減数分裂に入るとスピンドル極体の近傍にはテロメアが存在し、動原体はそこから離れたところに存在するという逆転現象が見られることである。染色体凝縮については、最近全く新たな展開が当研究室において行われた。すなわちcut3とcut14の遺伝子の変異表現型を調べたところ、これが著しく染色体凝縮に欠損を示すことが明かとなった。cut3とcut14のアミノ酸配列は類似しており、N端にヌクレオチド3りん酸結合部位を有する新しいタイプのファミリーのメンバーである。cut3、cut14の染色体の分離の原因は染色体凝縮の欠陥に由来する町能性が商い。これらのタンパクの興味深い点はXenopusの凝縮染色体中において見い出されたSCIIと相同であり、また試験管内で作製した凝縮染色体中の主要な構成タンパクである。
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