研究課題/領域番号 |
05102006
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
木下 タロウ 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (10153165)
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研究分担者 |
井上 徳光 大阪大学, 微生物病研究所, 助手 (80252708)
竹田 潤二 大阪大学, 微生物病研究所, 助教授 (50163407)
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キーワード | GPIアンカー / 発作性夜間血色素尿症 / 遺伝子病 / 糖鎖遺伝子 / 造血幹細胞 / X染色体 / 体細胞突然変異 / 補体 |
研究概要 |
1.PNHの分子病態学 発作性夜間血色素尿症(PNH)は、GPIアンカー生合成に働くPIG-A遺伝子に体細胞突然変異を持つ造血幹細胞のクローンが末消血液細胞を占有することにより発症する。PIG-Aの突然変異だけで異常クローンによる占有が起こるかを知るため、マウスの相同遺伝子Pig-aを破壊してGPIアンカー欠損となったES細胞を作製し、それを用いてキメラマウスを作った。GPIアンカーはマウスの形態形成に必須であるらしく、高いキメラ率のマウスは生まれなかった。生まれた低キメラ率のマウスのうち6匹の赤血球にGPIアンカー型タンパク質欠損の細胞が存在したので、その割合が成長とともに拡大してくるか観察した。その結果、生後5-10ケ月の間は、欠損細胞の割合は増加しなかった。このことは、PNH患者でみられるGPIアンカー欠損細胞のクローン性占有には、PIG-Aの突然変異とさらに別の要因が重なっていることを示唆している。6匹中1匹において12ケ月頃より欠損細胞の拡大が起こり、4-5%で推移していたのが、17ケ月目には30%に達し死亡した。こては、PNHの発症と酷似しており第2の要因が個体に発生したのかも知れないので、今後マウスの数を増やして再現性を検討する予定である。 2.GPIアンカー生合成遺伝子群の構造と機能の解析 既知のクラスCとEのミュータントの遺伝子をクローニングした。従来クラスJと呼ばれているミュータントと同じステップのミュータントを新たに確立し、その遺伝子をクローニングした。GPIアンカーをペプチドに転移できない酵母のミュータントが確立されその遺伝子GAA1がスイスのグループによりクローニングされたので、その情報に基づき、ヒトとマウスの相同遺伝子をクローニングした。 すでにクローニングしていた3番目のマンノースの転移に働くPIG-Bの遺伝子産物がERの内腔側に活性部位を持つタンパク質であることを示し、3番目のマンノースの転移が内腔側で起こっていることを示唆した。
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