研究課題/領域番号 |
05152007
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
渡辺 民朗 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (40006101)
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研究分担者 |
井川 俊太郎 東北大学, 加齢医学研究所, 助手 (50241576)
阿部 達也 東北大学, 加齢医学研究所, 助手 (70222651)
金丸 龍之介 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (70152783)
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キーワード | チトクロームP450遺伝子 / P450IIE1 / P450IA1 / ヒト遺伝子の多型 / 発癌感受性 |
研究概要 |
ヒトにおける癌の外的発生要因を考察すると、広く環境に散布されている癌原性化学物質が主として関与しているとの可能性が非常に大である。一方、ヒト癌発生において遺伝的素因の関与も考えられ、その因子の一つとして癌原性化学物質の代謝、すなわち代謝的活性化に関連する酵素の遺伝的多型性があると考えられるようになってきた。この酵素としてチトクロームP-450(P450)依存モノオキシゲナーゼの役割がまず第一に考えられ、特に基質特異性を決める因子としてP450が注目されている。そこで、分子多様性を持つP450の内、N-ニトロソ化合物、ウレタンなどの代謝的活性化に関与するP450IIE1と、芳香族炭化水素に関与するP450IA1を取り上げ、ヒトにおけるRFLPを検べ、それらの癌発生との関連性について検討を加えた。ヒト末梢血の10mlを採取し、白血球よりのDNAをPCRで増幅した。種々の制限エンドヌクレアーゼで処理すると、ヒトP450IIE1のDNAについてはDra1でRFLPの存在を示していた。肺癌患者の91名、正常人と考えられる対照群は76名よりなっている。RFLPによる遺伝子多型との関連でみると、P450IIE1のDra1のみに正常人と比して肺癌において有意差のあることが、0.05%以下の危険率でχ^2検定(自由度2)で確かめられた。しかし、肺癌の組織型分類では差異がなかった。正常と変異遺伝子のヘテロ接合体の頻度を見ると、肺癌と正常人との比較で、オッズ比が2.1を示し、差異があった。剖検肝についてのIIE1のmRNA量を調べると、変異遺伝子を持つホモ、そしてヘテロ接合体においてmRNA量の増加が認められた。 一方、P450IA1遺伝子多型分布については、他の報告にあるような肺癌と対照群との間の有意差が認められなかった。
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