研究概要 |
T細胞の増殖因子であるインターロイキン2(IL-2)の特異的受容体には、少なくともα、β、γ鎖の3つのサブユニットがある。我々が単離したγ鎖は、β鎖とともに細胞増殖のシグナル伝達に必須である。γ鎖の細胞質内ドメインのうちSH2様サブドメインを含む部位が、IL-2によるチロシンリン酸化と細胞増殖に必須であることを、γ鎖の変異株を用いて明らかにした。 また、γ鎖の異常は伴性重症複合免疫不全症(XSCID)の原因であり、γ鎖がT細胞の分化に関与している他のサイトカインの受容体の構成成分になっている可能性が高い。本研究では、まず、マウスγ鎖に対する複数の単クロン抗体を調整した。これらの抗体を用いてサイトカインの結合を調べたところ、ある単クロン抗体(TUGm2)はIL-4,IL-7の結合を阻害し、他の抗体(TUGm3)はIL-4,IL-7に結合したγ鎖を免疫沈降した。さらに、IL-4,IL-7に依存した細胞増殖がTUGm2抗体により阻害された。これらの結果は、IL-2受容体のサブユニットとして同定されたγ鎖が、IL-4,IL-7の受容体のサブユニットとしても共用されていることを示している。 我々が同定したT細胞特異的チロシンリン酸化酵素itkは、IL-2刺激によりリン酸化されなかった。
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