研究概要 |
1. トポIIの精製とその性状の解析 我々は様々な組織よりトポIIの精製とその性状の解析を行った。その結果トポIIはカゼインキナーゼIIと複合体を形成していること、また特に脳においてはトポIIは神経組織に特異的に認められる分子量45Kの非ヒストン蛋白質と複合体を形成していることが明らかとなった。 2. カゼインキナーゼの精製とその性状の解析 我々は、HeLa細胞核画分よりトポIIをリン酸化する新たなカゼインキナーゼの精製に成功し、その性状の解析を行った。このキナーゼはDNAに結合しており分子量55Kのモノマー構造であった。またその活性はヘパリンやポリグルタミン酸のようなポリアニオンにより著しく活性化された。またトポII以外にも、HMG1類似蛋白質であるP1、あるいはc-Myc蛋白質をin vitroの基質とすることがあきらかとなった。 3. PP2Cβの新イソタイプcDNAのクローニングと解析 これまでに我々は、PP2Cの2種類のサブタイプ(PP2CαおよびPP2Cβ)をコードするcDNA(ラットPP2Cα,pST-11;マウスPP2Cβ,pTK-1)を単離し、解析を行ってきたが、今回PP2Cβの新イソタイプをコードするマウスcDNA(pTK-2)のクローニングに成功した。pTK-1およびpTK-2がコードするホスファターゼはそれぞれ、PP2Cβ-1およびPP2Cβ-2と名付けられた。ノーザンブロットによる解析の結果、PP2Cβ-1は各種臓器に普遍的に発現しているが、PP2Cβ-2は脳と心筋にのみ特異的に発現しているという成績を得た。 4. PP2Cαのリン酸化 In vitroでは、PP2CαはガゼインキナーゼIIによりリン酸化されることが判明した。そこで今回、in vitroおよびin vivoのリン酸化ペプチドマッピングの比較検討を行ったところ、両者のマッピングのパターンが一致することが明らかとなった。従って、in vivoにおいても、カゼインキナーゼIIにより、PP2Cαのin vitroの場合と同じ部位のリン酸化がおこったことが強く示唆された。
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