研究課題/領域番号 |
05152022
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
斎藤 泉 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (70158913)
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研究分担者 |
鐘ヶ江 裕美 東京大学, 医科学研究所, 助手 (80251453)
原田 志津子 東京大学, 医科学研究所, 助手 (10218646)
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キーワード | C型肝炎ウイルス / アデノウイルスベクタ- / 生ワクチン |
研究概要 |
我々は組換えアデノウイルスの作製法に改良を加え、その作製効率を数十倍にすることに成功し、1年間で世界全体の作製数の約3倍に当たる30以上の組換えアデノウイルスを作製した。この技術を用いて、C型肝炎ウイルス(HCV)の3種の構造蛋白(C、E1、E2)のそれぞれ、あるいはこの3種を同時に発現する非増殖型組換えアデノウイルスを作製した。発現のためのプロモ-タ-としては、強力なSRaプロモ-タ-を用いた。これらの組換えアデノウイルスは、ヒト肝癌由来のHepG2細胞株で目的のHCV蛋白を産生し、少なくとも10日は発現が持続することが、特異的モノクロ-ナル抗体を用いたウエスタン法で確認された。さらに、この3種の構造蛋白を同時に発現する組換えウイルスを10^9PFU、マウスに腹腔内接種を行った結果、2回目までの投与で10匹のマウス全例において3種全ての構造蛋白に対する液性抗体の産生を確認した。10^<10>PFU投与したマウスでは、抗体価の上昇は10^9PFU投与群と同等以下であり、また腹膜炎などの症状が現れるなど、副反応である炎症反応が現れた。この結果は、現在ヒトの遺伝子治療に使われ始めている非増殖型アデノウイルスベクタ-にHCVの遺伝子を組み込むことにより、C型肝炎の生ワクチンを開発する可能性を開いたと考えられる。中和抗体が惹起されるか否かについては、チンパンジ-を用いたチャレンジ試験を行う必要があるが、本研究の結果はこのチャレンジ試験への前段階をクリアしたものと考えられる。
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