研究課題/領域番号 |
05152045
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
永田 恭介 東京工業大学, 生命理工学部, 助教授 (40180492)
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研究分担者 |
今井 剛 東京工業大学, 生命理工学部, 助手 (30242308)
渡辺 肇 東京工業大学, 生命理工学部, 助手 (80212322)
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キーワード | アデノウイルス / 遺伝子複製 / 遺伝子転写 / 宿主細胞因子 / 無細胞質 |
研究概要 |
我々はモデルがんウイルスとしてアデノウイルスをとりあげ、その増殖過程のうち遺伝子の複製段階と細胞がん化に関連した初期遺伝子の転写段階に焦点をあて、分子レベルでそれらの機構を明らかにするとともに、これらの段階に関与する宿主細胞由来の因子群の性状と細胞内機能を明かにすることを目的として研究を遂行した。感染細胞内における真の複製鋳型はウイルスDNAとコアタンパク質の複合体である。この複合体を鋳型として、裸のゲノムの複製に必須な5種類のタンパク質因子の存在下に試験管内相補試験で複合体の複製に必要な因子を精製し、Template Activating Factor-l(TAF-l)と命名した。TAF-lは複製の開始反応を促進するとともに、DNA鎖の伸長反応に必須であった。その部分アミノ酸配列を決定し、cDNAをクローン化した。今後、cDNAの全塩基配列を決定し、機能ドメインの同定を行なう必要がある。初期遺伝子の転写にかかわる因子のうち、E4TF1はすでにcDNAのクローン化に成功しており、etsドメインとnotchドメインをそれぞれ含む2つのサブユニットから構成されていることが示されている。本研究での大腸菌で発現したそれらの変異体を用いた解析から、転写活性化機能をもつものはE4TF1を構成する2種のサブユニットの4量体であることが明かとなった。初期遺伝子の転写にかかわる別の因子であるE4TF3の活性はE1A遺伝子産物や他の分子との相互作用、あるいは自身の修飾によって調節される。本研究によりE4TF3に強く相互作用する分子の中にはそれ自身をリン酸化する酵素が含まれており、このリン酸化酵素による修飾がE4TF3の活性を調節している可能性が示された。E4TF1およびE4TF3についてはそれらの細胞内における活性調節機構、とくに修飾による機構について解析をすすめる必要がある。
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