抗Rex抗体と交差する蛋白質をコードする遺伝子、又、核酸プローブを用いてlow stringentな条件で釣り上げたclonesを機能的にRexと相同であるかどうか調べたが、いづれもnegativeであった。そこで、機能を基にクローニングするため以下の2つのアプローチを行った。 1.Rexの細胞側コファクターの同定:Rexはコファクターと一緒に働いていると考えられている。機能的なRex相同体はRexと同一のコファクターと相互作用しているはずである。そこでまずコファクターを同定することを試みた。そのためにRex及びHIVにおけるcounterpartであるRevのdominant-negative mutantの作用機能を分析した。その結果、標的RNAと結合できないRexのmutant(TAgRex)が、細胞側コファクターを取り去ることによりRex/Revの作用を制御していることを明らかにした。次にこの抑制を解除する因子を検索したところ、翻訳開始因子eIF5Aが見つかった。このことはeIF5AがRex/Revのコファクターであることを示す。そこでeIF5Aとの相互作用を指標に、Rexの細胞相同体のスクリーニングを開始する予定である。 2.発現クローニング法の工夫:Rex/Revは標的RNAと結合する領域とコファクターと結合する領域に分けられる。そこで、RevのRNA結合領域(技術的な理由でRevを用いた)とのfusion蛋白としてcDNAが発現できるようなクローニングベクターを構築した。次に分泌型のHIVのEnvをRev依存的に発現するレポータープラズミドを作った。数ngのRev発現プラズミドとコトランスフェクトすることによりEnvの生産が認められた。これはcDNAライブラリーのスクリーニングに耐える鋭敏さである。活性化されたT細胞よりRNAを抽出し、cDNAライブラリーを作成し、スクリーニングを開始している。
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