研究課題/領域番号 |
05152118
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
吉田 武美 昭和大学, 薬学部, 教授 (20138415)
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研究分担者 |
沼澤 聡 昭和大学, 薬学部, 助手 (80180686)
山元 俊憲 昭和大学, 薬学部, 助教授 (30112741)
中谷 一泰 昭和大学, 薬学部, 教授 (40053855)
黒岩 幸雄 昭和大学, 薬学部, 教授 (20053796)
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キーワード | ブファリン / ブファジエノリド / 白血病細胞 / 分化誘導 / Na^+,K^+-ATPase / 癌遺伝子 / アポトーシス / 抗腫瘍作用 |
研究概要 |
生薬センソ成分のブファリン(Bu)およびブファジエノリドが、ヒト由来白血病細胞HL60、K562、U937、ML1およびTHP-1細胞を5〜10nMの低濃度で分化誘導を引き起こし、分化誘導能と、Na^+,K^+-ATPase阻害の間に高い相関性(0.987)が存在することが明らかになった。Buの生体内代謝物3α-Buの効果は、ほとんど認められなかった。^3H-BuのK562細胞への結合は、スカッチャード解析の結果、Kd=6.05,Bmax=521.2fml/10^6cellsが得られ、^3H-ウワバイン(^3H-Oub)よりKdは小さく、Bmaxは同程度であることを明確にした。^3H-Buの結合は、高濃度Oubにより置換され、両者は同一作用部位を共有した。Oub耐性K562細胞株を作成し、同様に検討したところ、Buの分化誘導能は、著明に減弱し、^3H-Buの結合も半減した。また、Bu抵抗性のM1細胞に対する^3H-Buの結合はK562細胞に比べ1/10程度であった。Buは、K562細胞への^<45>Ca^<2+>の取り込みを顕著に上昇させたが、Oub耐性株では、ほとんど認められなかった。Buは、癌遺伝子産物(c-myc、c-myb等)も大きく変動させ、またras-raf系を介してMAPkinaseを活性化すること、U937細胞でアポトーシスを誘発することが明らかになった。抗Bu抗体の作成に成功し、正常ヒト血清に抗Bu抗体と交差するBu様の分化誘導物質が存在する可能性があることを、各種ヒト由来各種白血病細胞、Oub耐性株およびM1細胞に対する作用をBuと比較検討することにより、示唆した。Buは、FM3A担癌…C3Hマウスに対し、1日1回0.5mg/Kg腹腔内投与により。顕著な抗腫瘍効果および延命効果を認めたが、WiDr担癌ヌードマウスに対する効果は認められなかった。この投与条件では、in vitroで得られたこれら癌細胞に対し、細胞毒性を示す濃度よりかなり低いことから、免疫系への影響を調べたところ、Bu処置C3HマウスではNK細胞活性が著明に高いことが明らかになった。 以上のように、Buは、Na+,K+-ATPase阻害を一義的作用部位として分化誘導作用を示すことともに、in vivoでは免疫系を介した抗腫瘍作用を有することが示唆された。Buの多彩な作用が明らかになり、今後の展開が期待される。
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