研究課題/領域番号 |
05152153
|
研究機関 | (財)東京都臨床医学総合研究所 |
研究代表者 |
宮木 美知子 財団法人 東京都臨床医学総合研究所, 腫瘍生化学研究部門, 研究員 (20085624)
|
研究分担者 |
田中 貴代子 財団法人 東京都臨床医学総合研究所, 腫瘍生化学研究部門, 研究員 (40124474)
矢ノ下 玲 財団法人 東京都臨床医学総合研究所, 腫瘍生化学研究部門, 研究員 (00224915)
|
キーワード | 大腸癌 / 大腸腺腫 / 家族性大腸腺腫症 / 癌抑制遺伝子 / PCR-SSCP / 染色体移入 / p53遺伝子 / 転移 |
研究概要 |
癌の悪性度が進み転移能を獲得する機構や、癌にしばしば見られる染色体数の異常の発生機構を明らかにするため、同時性肝転移を有する大腸癌23検体(FAP患者の癌 4,一般集団の癌 19)について染色体1p、5q、8p、17p、18q、22qの癌抑制領域の対立遺伝子欠失を調べた結果、1p、5q、22q領域では50%の頻度であったが、8p、17p、18qの領域では殆どの癌において欠失が認められた。これらの変化の内、18qの欠失とDCCmRNAの消失が肝転移と相関すること、22q欠失とリンパ節転移が相関することが強く示唆された。DNAプロイディーの変化は早期癌(粘膜内癌)の段階でも起こっていたことから、転移とは関連しないと推測された。一方、癌化におけるp53遺伝子変異の意義を明らかにするため、12種の変異p53cDNAをCMVプロモーターとneo耐性遺伝子を含む発現ベクターpRc/CMVに繋げ、活性ras遺伝子と共にラット初代培養細胞にトランスフェクトし、形質転換に及ぼす作用を調べた。活性ras遺伝子のみでは形質転換はほとんど起きなかったが、ミスセンス変異を有する11種のp53cDNAと共にREF細胞に導入すると、形質転換体のフォーカスが観察された。その効率は変異の種類によって異なっており、また、ナンセンス変異を導入した変異p53cDNAの場合にはこのような活性ras遺伝子との協同作用は認められなかった。今回の結果からp53遺伝子の変異の種類によって、細胞の悪性転換に及ぼす影響が異なる可能性が考えられた。 正常1染色体1p34-36領域の移入により大腸癌の癌形質が抑制された細胞と、移入細胞から1p36が脱落して造腫瘍性を再発現するようになったリバータントが得られ、1p36領域に癌抑制遺伝子の存在が示唆された。一方、大腸癌細胞に正常8番染色体を移入したところ、大腸癌で高頻度の欠失が認められる領域が移入された細胞で、ヌードマウスにおける造腫瘍性の抑制が認められた。
|