研究課題/領域番号 |
05201106
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
辻井 博 京都大学, 農学部, 教授 (60027589)
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研究分担者 |
細川 隆雄 愛媛大学, 農学部, 助教授 (90150812)
加賀爪 優 京都大学, 農学部, 教授 (20101248)
清水 哲郎 奈良女子大学, 生活環境学部, 教授 (40132344)
山口 三十四 神戸大学, 大学院国際協力研究科, 教授 (90030684)
間藤 徹 京都大学, 農学部, 助教授 (50157393)
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キーワード | 食糧需給 / 人口 / 飢餓 / 食糧政策 / リン / WTO / コメ / ソ連 |
研究概要 |
現在地球上に約5億人の飢餓人口が存在し、同時に数億の人々が食糧の過剰摂取状態にある。この問題は、人口、経済成長、所得分配、農業技術、自然資源、環境、農業政策・制度、経済体制、食糧援助・国際農業協力等の条件に規定されている。 発展途上諸国の人口は爆発しており、世銀の推計では世界人口は21世紀末に最も控えめにみても倍増し、4倍になる可能性もある。そしてこの人口爆発は発展途上諸国で発生し、21世紀にはこれら諸国の人口は世界総人口の9割にも達するのである。この人口爆発は、過剰就業、飢餓、貧困を増大させ、自然資源の破壊をもたらし、21世紀にそれらがさらに悪化する可能性が高い。所得分配の偏りすなわち貧困を理由に膨大な栄養的食料不足が存在する。辻井は国連の飢餓・貧困人口と世界各地のカロリー摂取量推計量から、1990年頃の世界の栄養視点からの穀物不足量を6100万トンと試算した。山口は最低熱量摂取量を満たしていない飢餓人口が世界で約1億人、不足量は1日約2600億カロリー(穀物で年間約2400万トン)と推計した。 間藤は食糧貿易とリン循環について日本と東北タイを対象に研究した。農産物の貿易はそれらが吸収した窒素リンなど植物栄養素の移動であり、それが一方向的であるから輸出国からの収奪と輸入国への蓄積・富栄養化をもたらす。日本の場合農産物の輸入で1年に11万トン強が輸入され、リン鉱石やリン肥料の輸入で耕地へ肥料として32万トンのリンが投入され、約40万トンが環境へ流出している。最近の日本の耕地深度は25cmに含まれる全リン672万トンの内398万トンは人為的投入によっており、また昭和25年以来平成4年までに1000万トンほどが海洋や湖沼へ流出した。砂土壌の東北タイでは輸出米生産によりもともと少ないリンが収奪され、輸入リン肥料を使用しなければコメ生産が行えなくなった。 ウルグアイ・ラウンドの農産物貿易交渉の決着により、WTO下で日本や韓国はコメ市場の部分開放を実施する。一般に貿易自由化は望ましいとされるが、辻井はコメ貿易の自由化につながるこの部分開放は問題の方が多いことを明らかにした。それは、第1に日本の93年のコメ緊急輸入がタイ、インドネシア、アメリカの輸出米価や国内米価を急騰させ、第2にシミュレーション分析が日本のコメ部分開放が国際貿易米価を最近水準の2倍ほどにしかつ不安定にし、米価とコメ供給の安定を強く望むアジア諸国とコメを主食とする膨大なアジアの貧困・飢餓人口を危機に陥れることで示される。
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