研究課題/領域番号 |
05201112
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
岡崎 陽一 日本大学, 法学部, 教授 (90185421)
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研究分担者 |
渡辺 真知子 嘉悦女子短期大学, 助教授 (70201233)
大淵 寛 中央大学, 経済学部, 教授 (00055162)
阿藤 誠 厚生省, 人口問題研究所, 所長
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キーワード | 長期世界人口推計 / 人口法則 / 人口転換 / 大人中心社会 / 女性の高学歴化 / 出生率 / 女性の社会的地位 / 環境問題 |
研究概要 |
国連が1992年に発表した『長期世界人口推計』は、今後二世紀間の世界人口増加の鎮静化とその静止の可能性を示している。このことは、人口爆発や将来人口の大きさを問題とする現在の議論の再検討の必要性を示している。問題は、先進地域と発展途上地域との人口の生活水準の格差の存在であり、今日の人口増加が専ら途上国における人口増加によってもたらされていることである。しかし、途上国と先進国との人口増加の違いは「人口転換」の段階の違いによるものである。先進諸国は既に人口転換後の段階にある。しかし、高度技術の更なる飛躍が人口増加の第5の波を引き起こす可能性を現時点では排除できない。 現在先進諸国の多くは人口置き換え水準を下回っている。これら先進諸国の低出生率の技術的要因としては、避妊・不妊技術の発展が重要である。一方、社会的要因としては、結婚と性と生殖を一体として捉える従来の家族観の変容、女性の社会的地位と役割の変化、子供中心社会から大人中心社会への変化等がある。この一事例として日本の女性の就業行動の変化を分析した。技術革新によって男女間での仕事差が小さくなったことが、女子労働への需要を増加させている。また、女性の高学歴化が著しいが、高学歴者ほど労働への意欲が大きく、このことも女性の就業行動の変化に寄与している。 持続可能な発展との関連で人口抑制の必要が説かれるがこれには感情的な反発がある。人口抑制策は消極的政策と考えられているからである。また、長期的視野での配慮を一般大衆レベルに求めることが可能かという問題もある。一般に人口問題や環境問題の解決を巡っては、マクロとミクロの間で対立がある。マクロレベルでの環境への配慮の重要性を解いても、ミクロレベルでの現在の生活水準の向上を求める勢力を説得する事は難しい。
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