研究課題/領域番号 |
05202105
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
島薗 進 東京大学, 文学部, 教授 (20143620)
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研究分担者 |
芳賀 学 東京学芸大学, 教育学部, 助手 (40222210)
鳥井 由紀子 東海大学, 文学部, 専任講師 (00237158)
石井 研士 国学院大学, 文学部, 専任講師 (90176131)
竹沢 尚一郎 九州大学, 文学部, 助教授 (10183063)
対馬 路人 関西学院大学, 社会学部, 教授 (60150603)
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キーワード | 宗教意識 / 宗教運動 / 神秘主義 / ニューエイジ / 新新宗教 / 精神世界 / 自己啓発 / 葬儀 |
研究概要 |
本年度は新たに2名の研究分担者が加わり、3回の研究会によって討議を深めるとともに、個々の課題についての資料収集や調査研究を前進させることができた。また、他班との交流をいっそう深めることができたのも有意義なことであった。島薗は新新宗教について、幸福の科学やコスモメイトの研究を進めるとともに、新たに富山県に本拠をもつ浄土真宗親鸞会と御手南会の調査を行った。また、前年に続いて心理療法的な癒しを目指す団体の調査も進めている。石井と新たに加わった島田は年中行事や結婚式のような半ば世俗的でありながら、いく分かの宗教性を保持しているような儀礼とそれを支える人間関係に注目し、その背後に情報化の影響を読みとる作業を進めている。島田とともに本年より新たに加わった竹沢は、祭の実態調査を精力的に行い、とりわけ村落部と都市の祭を対比的に捉える祭の比較研究に取り組んでいる。これは本研究の柱の一つになりつつある「情報化による儀礼の変容」というテーマに深く関わるものである。対馬路人は心霊科学の研究を進めるとともに、他の研究協力者らとともに葬儀や墓地についての研究にも取り組んでおり、情報化に伴う死の意識の変容を捉える作業を進めている。鳥井は水子供養や女性の宗教者の意識調査によって、女性の宗教性の変容を考察し、情報化の影響がどのように現れているかを解明しようとしている。芳賀は自己啓発セミナーの調査による知見を広げ、新新宗教や他の精神世界運動などと対比して、宗教を通して若者の意識の変化を捉えようとする作業を進めている。個別研究の進展とともに「情報化と宗教」をめぐる問題の広がりが理解できるようになってきたが、それを総合的に捉え返す理論的作業はまだ十分に進んでおらず、これが平成6年度のもっとも重要な課題となる。
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