本研究では、POIを設置させる立地-配分モデルを作成し、そのシミュレーション結果から、長距離系新電電3社の各ネットワーク形成を考察した。本分析の結論は次の4点にまとめられる。(1)新電電の通信回線ネットワークにおけるPOI設置ルートの形成順は、東海道ルート、山陽ルート、東北ルート、北海道・九州ルート、北陸ルートの順に形成されてゆく。このPOI設置ルートは単位地区のポテンシャルの高い地域順に向かって形成される。またPOI設置の優先順に関しては各ルートが敷設される場合、都道府県庁所在地など大都市を含む単位地区にまず設置し、後になってPOI間の人口が多く受益者数が大きくなる地区にルートを補完するためにPOIが設置される。(2)POI設置モデルを作成、試行したところ、実際のPOI設置地区とモデル試行によるPOI設置地区との最大一致数、一致率は、第二電電56か所78.9%、日本テレコム63か所74.1%、日本高速通信29か所64.4%となった。(3)都道府県庁所在地の価値を考慮してPOI設置モデルを試行したところ、ネットワークが全国に展開している第二電電、日本テレコムでは、考慮しないモデルより最大一致率は増加した。そのときの都道府県庁所在地の価値は、人口に換算して10万〜15万人となった。逆に太平洋ベルトを主なサービス地域としている日本高速通信では一致率が低下した。また都道府県庁所在地の価値を考慮しても甲府・佐賀・山形の3地区にはPOIが設置されなかった。このときにおけるPOI展開速度は、ネットワークが全国に展開している第二電電、日本テレコムにおいては実際より早く全国に拡散し、日本高速通信においては展開が遅かった。(4)POI設置モデルの試行結果では、POI設置ルートの形成順は東海道・山陽ルート、九州ルート、東北ルート、北陸ルート、北海道ルートの順になっており、北陸ルートは実際のネットワークの展開より早い。
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