本年度の目標は、戦後日本における女性議員に関する基本的なデータベースを作成することであった。作業計画では、早い段階に女性議員のいる自治体の協力を得て、まず女性議員の名簿作成を進める予定であったが、7月に思わぬ衆議院の解散・総選挙となり、各自治体の選挙管理委員会にも、また議会事務局にもしばらく依頼できない状態が続き、この作業は大幅に遅れた。したがって、まず昨年調査した鳥取県については、過去のものについていくつかの資料を収集することができ、これを手掛かりに一つの方向が開けた。なるべく多くの地域について戦後からの資料を集められないかと、例えば国会図書館などで試みたが、地方レベルで戦後一貫して資料が入手できるのは、現地に赴くしかないということが分かった。そのため、過去のものについては近畿圏を中心に現在収集作業に当たっており、今後も継続する予定である。また、特に困難かつ重要なことでありながら、その作業が遅れていた女性議員に関する名簿の収集は、市部については660余りの全てを対象に、また町村部については平成3年の統一地方選挙で女性議員の存在が確認されている所、およびその後から平成5年末までに改選され、女性議員の存在が明らかではない所の合計800余りについて年明けと共に調査票が発送され、現在回収整理されている。この名簿提供については、女性だけに限定したものであるだけにどの程度の協力が得られるか疑問であったが、結果はかなり良く私の心配も杞憂であった。この名簿が直ちにデータベース化されるわけではないが、この名簿をもとに、今年と同じ重点領域で94年度に予定している女性議員調査を通じて、これまで一度も実行されたことのない日本社会の変化に女性がどのように関わってきたのか、また女性と政治との関連がどうなっているのか、等の問題について明らかにしていく予定である。
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