研究概要 |
深度10〜20mまでの電磁波探査の可能性を調べることを目的に,鳥取県北条町の砂丘および羽合町の古墳を対象地として予備実験を行った.この地を選んだ理由は,電磁波探査に都合のよい比較的乾燥した砂丘地帯であることと,海に面して深度の明確な反射面である海水潤面が期待されたからである.結果的には,北条町の砂丘は標高15mであり,可能な最高深度を試すにはやや不足だったので,羽合町の古墳(標高25m)も実験対象地として追加した. 大きい透過深度を得るため,平成5年度購入した13.56MHzの産業用高周波発振器を用い,電磁波の放射に指向性をもたせるため(真下から約30°方向に放射のピークを持つ),線状1波長アンテナを用いた.発振アンテナと同様な受信アンテナで電場の強い距離を探ることにより地下の反射面の深さを推定した. 北条町の第1の実験地では,80Wの出力で地表下13および24mに反射面が推定された.羽合町の第2の実験地では,200Wの出力で地表下18および26mに反射面が推定された.第2の実験地でより大きい出力を要したのは,土質が砂丘砂よりも水分が高く減衰が大きい粘性土だったためと思われる. 上記の予備実験で,13.56MHzの電磁波は10〜20mの地下まで十分透過することがわかり,また線状1波長アンテナを用いる本手法により,この程度の深度までの電磁波探査が可能であることが明かとなった.
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