研究課題/領域番号 |
05205105
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研究機関 | 姫路工業大学 |
研究代表者 |
森永 速男 姫路工業大学, 理学部, 助教授 (40210182)
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研究分担者 |
藤田 淳 兵庫県教育委員会, 技術職員
久保 弘幸 兵庫県教育委員会, 技術職員
山下 秀樹 京都文化博物館, 学芸員 (80158162)
井口 博夫 神戸大学, 理学部, 助手 (40112073)
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キーワード | 被熱遺構 / 磁気探査 / 帯磁率 / 残留磁化 / 旧石器遺跡 / 火山灰質土壌 / 粘土質土壌 / たき火実験 |
研究概要 |
今年度実施項目は大きく分けて、(1)室内での被熱による土壌磁性変化測定、(2)野外でのたき火による土壌磁性変化測定、そして(3)実際の遺跡(岡山県恩原遺跡と新潟県真人原遺跡、共に旧石器遺跡)での磁気による被熱遺構探査である。 項目(1)の測定により、250℃から300℃の被熱で土壌の帯磁率と残留磁化強度が急激に大きくなることが判った。この特徴は火山灰質よりも粘土質の土壌の方が大きく現れた。約500℃までに帯磁率は火山灰質土壌では2倍程度まで、粘土質土壌では30倍程度まで増加した。その後、より高温(700℃まで)になるにつれて、火山灰質土壌では元の大きさ以下まで減少した。粘土質土壌でもより高温域で帯磁率の減少が見られるが、約10倍程度は元レベルより大きかった。残留磁化強度は火山灰質土壌で10から数10倍まで、粘土質土壌で1000倍以上まで増加した。約600℃以上の被熱(700℃まで)で、どちらの土壌の場合にもわずかな減少があった。このことから、粘土質土壌の遺跡の方が、磁気による被熱遺構探査がより有効であると判定できる。項目(2)の測定により、たき火の形状を再現するような帯磁率と残留磁化強度の増加が確認された。ただし、たき火中央部では周辺部よりそれらの増加程度は低かった。また、視覚的な被熱痕跡である赤化はたき火の周辺部(帯磁率等が最も増加した所)で確認され、赤化部分の地中方向の厚さは1cm程度であった。地中への熱の伝搬はさほど進まず、6時間程度のたき火で表面から約2cm下でやっと100℃に到達していた。おそらく水の気化熱として多くの熱が使われたためと考えられる。項目(3)の結果、恩原遺跡より被熱したと考えられる(残留磁化強度と100倍程度大きな土壌の存在する)地点を発見できた。また、真人原遺跡では被熱遺構を発見できなかった。
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