研究課題/領域番号 |
05206105
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
無藤 隆 お茶の水女子大学, 生活科学部, 教授 (40111562)
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研究分担者 |
常田 秀子 東洋大学, 文学部, 助手 (40246773)
遠藤 利彦 聖心女子大学, 文学部, 専任講師 (90242106)
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キーワード | 乳児 / 愛着 / Qソート / 自己知識 / 他者の知識 / 動作主体性 / 語彙の獲得 |
研究概要 |
1.目的:(1)乳幼児における自己と他者(母親)の知識を、動作主性(agency)に関するものと、客体的特徴に関するものとに分け、それらの獲得過程を12カ月時点から始めて縦断的に追跡研究する(平成5年度は12カ月時点のデータを収集)。(2)自他に関する知識獲得と母子の関係性(愛着)との関連性を検討する。(3)自他に関する知識の獲得と語彙の理解・発話との関連性を明らかにする。本研究は特に人の内的状態や対人関係に関わる語彙に焦点を当てこの問題を分析する。2.方法:(1)実験対象…生後12カ月の幼児とその母親31組。ただし今回の報告は早期に得た15組の母子(男9名;女6名)に限定して行う。(2)実験観察…実験者2名が各家庭を訪問し子が自身と母親に関してどのようなレベルの理解を示すかをPippら(1987)を改作した測度を用いて測定する。(3)語彙調査…子の発話語彙、理解語彙、それが使用される状況に関する質問紙・面接調査を母親に対して実施。(4)愛着の測定…Qソート法を用いて子の母親に対する愛着行動の安定性を明らかにする。3.主たる結果:縦断的デザインをとる本研究の性質上12カ月時点のデータのみから結論できることは少ないが現時点で以下のことが明らかになった。(1)母親の動作主性に関してよりも自己の動作主性に関しての理解の方が相対的に高いレベルにあった。また自身の動作主性理解と母親の動作主性理解の間に微弱ながら相関性が認められた。客体的特徴に関わる課題(鏡映像課題)には自他いずれに関しても誰1人クリアできなかった。(2)Qソートによって測定された愛着の安定性得点と自他理解との間には(少なくとも今回分析した15人では)有意な連関は認められなかった。(3)自他理解と語彙獲得との間には理解・発話語彙とも有意な連関は認められなかった。ただし12カ月時点において母親から報告された語彙は未だ極めて希少であった。
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