研究課題
研究成果の第1回の発表会を平成6年1月27-28日に東京の早稲田大学で行った(班員はポスター発表)。第2回の発表会は平成6年3月12日-14日に静岡県伊東市のペンションで行った(発表は、時間制限を設けないで、背景、得られた生のデータなどの発表、、討論が行われた。公募班員や研究協力者を含め14人の参加があった。相互理解、今後の研究への取り組みなどを話し合い、成果は上がったと考えられる。久保田は遅延反応をアカゲザルのコザルに学習させた結果を報告した。コザルの発達過程で、シナプス形成が大脳皮質のあらゆる領域で最大となる生後2-4カ月(シナプス過剰形成期)に、コザルは3秒の遅延時間のある遅延反応の学習ができることを示した。これは前頭連合野が確実に働いたことを示しているので、つくられたシナプスが記憶を保持するため働き続けていることを意味する。つまり、発達のシナプス過剰形成期に高次脳の機能が発達することを示した。成果は、論文として発表された。糸魚川は、老齢ニホンザルのメスに遅延反応を学習させた結果を発表した。高齢サルの脳の老化の程度、超高齢ザル(31歳)のデータが得られたこと、ニホンザルは他のサルよりも記憶能力が優れているらしいことがわかった。山本は、発達障害児にいろいろな制約を与えて、行動やコミュニケーションが変わる条件を吟味した。下条は、頭部と眼球の働きをモニターしながら、視覚刺激と行動を観察するシステムを完成し、幼児での実験を開始した。子安は、幼稚園児2人で行う知的な遊びにおける行動を観察した。鹿取は健常児と言語発達障害児の視聴覚刺激に対する応答を解析した。6班員が実験やデータ処理にコンピュータを必要としたので、5班員で共同購入し、単独で講入する場合の半額で入手できた。これらの装置は各自順調にデータ解析等に使用されている。全体としてみると、目的とした研究が開始されていること(6班員)、興味ある所見が見出されていること(3班員)、最終論文の発表が行われたこと(1班員)があり、今後が期待できる初年度であった。
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