研究課題/領域番号 |
05207106
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山田 勇 京都大学, 東南アジア研究センター, 助教授 (80093334)
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研究分担者 |
増田 美砂 筑波大学, 農林学系, 講師 (70192747)
遅沢 克也 愛媛大学, 農学部, 助手 (30233539)
山倉 拓夫 大阪市立大学, 理学部, 助教授 (10089956)
村尾 行一 愛媛大学, 農学部, 教授 (50012076)
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キーワード | 熱帯多雨林 / 熱帯林修復 / サゴヤシ / 慣習法 / ボルネオ / 重層構造 / ドイツ林学 / 山村問題 |
研究概要 |
合宿形式の研究会が計4回開催され、各担当者から以下の話題提供があり、活発な討議が進められた。(1).「熱帯林修復のための極相陽樹のスクリーニング」(山倉);熱帯177種と日本15種を取り上げ、成長データーを解析した結果、先駆種の性質と極相種の性質を合わせ持つ樹種が理想的な造林候補種であるとした。(2).「スラウェシの森と海の生業」(遅沢);スラウェシ周辺の伝統的生業と生活原理を森と海との関連の中でとらえ、同地域の森林を保持する上で海を如何に使うかが重要課題になることが指摘された。(3).「森林資源と慣習法-熱帯林保護の枠組みを求めて-」(増田);熱帯地域の森林利用に関する法規制の歴史的変遷を概観し、慣習法のはたしてきた役割が検討された。議論は欧米や日本の事例との法社会学的比較検討へと展開した。(4).「ボルネオの生態環境-人と森-」(山田);ボルネオの各種の森林の生態構造を明らかにし、それぞれの小地域において人と森の関係は重層構造をなし、少々の撹乱は受容する調和空間をなしている。この生態空間の持つ意味が検討された。(5).「ドイツを主体とする欧州の森林観・森林利用の歴史的変遷」(村尾);欧州における森林利用の変遷を概観すると「近代」こそが保続的な森林利用を可能にしたことが明かである。熱帯地域においても多目的林業を導入することが、調和のとれた森林の保全と多用な利用に通ずることが検討された。これらの研究会の成果としては人と森の関連を視座に入れた東南アジア熱帯多雨林生態系の構造が地域間比較を通じて明らかになったこと、熱帯多雨林生態系把握の際に地域間比較とともに歴史的な視点を考慮する必要性が確認されたこと、また、より具体的、実践的議論が進められわが国の山村問題の解決策の熱帯地域への適用可能性が検討されたなどがあげられる。来年度は以上の成果を踏まえて、分担者の調査経験を、歴史的にかつ比較地域的に肉づけする。
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