研究課題/領域番号 |
05207112
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
筒井 清忠 京都大学, 文学部, 教授 (50121398)
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研究分担者 |
小川 伸彦 京都大学, 文学部, 助手 (10242992)
宮崎 恒二 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 助教授 (40174156)
菊池 道樹 法政大学, 経済学部, 教授 (90143718)
吉川 洋子 京都産業大学, 外国語学部, 教授 (40097910)
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キーワード | 地域研究成立史 / 比較歴史社会学 / 知識社会学 / オリエンタリズム / アジア主義 / 文化相対主義 |
研究概要 |
我々の研究は、代表的な地域研究の方法論的検討の段階と、その成果を総合して「世界認識の枠組みの変遷」を明らかにする段階との二段階からなる。本年度は、以下の方法で主に前者に属する研究をすすめた。 1.個別研究:日本のアジア主義及び超国家主義研究や東洋史学史研究(筒井清忠)、フィリピン-アメリカ関係史研究(吉川洋子)、ベトナム-フランス関係史研究(菊地道樹)、オランダ構造主義人類学研究とインドネシア-オランダ関係史研究(宮崎恒二)、移民政策史研究(小川伸彦)。 2.基本資料の収集:基本的文献の備品としての整備および、国会図書館、外交史料館および主要大学の蔵書や史料の複写収集を行ない、その有効活用のための整理を行なった。 3.研究会の開催:地域研究に関連する文献・資料を検討しつつ、各自の研究の進捗状況の報告や情報交換を行ない、地域研究の方法論に関する議論を深めた。 そのなかで、地域研究とは他者認識の一形態であるとの指摘や、地域認識の恣意性の問題、地域研究の道義性の問題、オリエンタリズム超克の必要性などについての議論がかわされた。また地域研究が、その学際的な立場から、近代の学問体系の組み替えという課題を背負っているという、今後の研究の方向性にもかかわる指摘があった。さらに、文化相対主義の問題や、研究者と研究対象との関係についての問題、また具体的な歴史事象としては、日本のアジア主義がはらんでいた対外的地域認識のありかたの問題性についても議論がなされた。 全体を通しては、筒井がこれまで行なってきた比較歴史社会学および知識社会学的研究の成果を方法論的指針として本研究が進展しており、東南アジアを起点とした、「世界認識の枠組の変遷」を描き出すという最終的課題にむけて実績が畜積されつつある。
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