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1995 年度 実績報告書

法的知識の一般的構造の解明

研究課題

研究課題/領域番号 05208101
研究機関北海道大学

研究代表者

松村 良之  北海道大学, 法学部, 教授 (80091502)

研究分担者 太田 勝造  東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 助教授 (40152136)
松浦 好治  大阪大学, 法学部, 教授 (40104830)
森際 康友  名古屋大学, 法学部, 教授 (40107488)
西脇 与作  慶應義塾大学, 文学部, 教授 (30118989)
キーワード法的知識 / 認知モデル / 推論 / エキスパートシステム / スジ / スワリ / 裁判 / 決定
研究概要

(1)今年度は法哲学班(森際,松浦,西脇)は「場としての法的知識」を明らかにした.多様な解釈が正しく行われる状況の中で,その場にふさわしい推論が選ばれ,「場としての法的知識」が形成される.道具としての法的知識と異なり,それは自分のおかれている場を定義する要素となる.さらに,それはそのような場としての知識のみにあるアイデンティティー形成機能を持つ.現実に一つの解釈と推論を選ぶということは,単に一つの効率的な選択を行っただけではなく,自己決定を通した自己形成を行ったことも意味する.
(2)法社会学・心理学班(松村,太田)は昨年度策定したリサーチデザインに基づき,裁判官の判断にとってのキーワードであるスジを明らかにするために,裁判官経験者を被験者として,仮想的な事例を題材としてシナリオ実験を行った(郵送法.調査票送付数1120.有効回答率40%弱).重回帰分析の結果によると,スジの良さの判断に効いているのは原告主張事実の妥当さ,証拠の確かさ,背景事情の分かりやすさ,原告主張の法律構成が事実にそくしているなどである.また,被告の人柄イメージ冷たい,原告の人柄イメージ暖かいなど人柄イメージもスジのよさの判断に効いている.つまり,スジのよさは原告中心の概念である.これに対し,判決のスワリのよさの判断はスジのよさとは余り関係がない.分散分析の結果によると,法律構成の違い,証拠の強弱のみならず背景事情(間接事実)も事案のスジのよさをはじめ事案の評価にかかわる心理学的判断尺度に対する反応に大きな影響を与えている.以上の知見を手がかりに,裁判官の判断構造の認知モデルを作成することができると思われる.

  • 研究成果

    (13件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (13件)

  • [文献書誌] 加藤新太郎、田尾桃二、松村良之、太田勝造、岡本浩一: "《座談会》裁判官の判断におけるスジとスワリ" 判例タイムズ. 891号. 13-43 (1995)

  • [文献書誌] 松村良之: "日本人と紛争解決における手続的公正--法意識論との関わりを通じて" 宮澤節生・神長百合子ほか編『法社会学コロキウム』(日本評論社). (発表予定). (1996)

  • [文献書誌] 西脇与作: "心の自然主義的理解" 心理学評論. 37巻4号. 437-453 (1995)

  • [文献書誌] 西脇与作: "進化生物学と決定論の自由化" 科学基礎論研究. 23巻1号. 1-7 (1996)

  • [文献書誌] 西脇与作、熊倉功二: "因果性と時間(発表予定)" 慶應義塾大学日吉紀要(自然科学). (1996)

  • [文献書誌] 松浦好治: "法的推論と法文化--普遍的法理論の批判的検討--" 成城法学. 48号. 1-21 (1995)

  • [文献書誌] 松浦好治: "知の制度の法的政治的意義--十九世紀アメリカ合衆国における法学校を素材に--" 比較法史研究4『制度知の可能性』(未来社). 75-93 (1995)

  • [文献書誌] 松浦好治: "law gameの中のおんな語とおとこ語" 書斎の窓. 444号. 18-24 (1995)

  • [文献書誌] 松浦好治: "他人のために生きることを強制できるだろうか" 『21世紀に向けての法と政治』(大阪大学放送講座テキスト). 159-169 (1995)

  • [文献書誌] 太田勝造: "民事裁判審理についての実態調査" 落合誠一(編)『論文から見る現代社会と法』(有斐閣). 37-67 (1995)

  • [文献書誌] 太田勝造: "「鑑定:前注」「民事訴訟法301条〜303条」" 新堂幸司・鈴木正裕・竹下守夫(編集代表),谷口安平・福永有利(編集)『注釈民事訴訟法(6)証拠(1)§257-310』(有斐閣). 396-431 (1995)

  • [文献書誌] 太田勝造: "民事訴訟法第323条〜326条」" 吉村徳重・小島武司(編)『注釈民事訴訟法(7)証拠(2)・簡易裁判所 手続§§311-359』(有斐閣). 150-185 (1995)

  • [文献書誌] 森際康友(編著): "知識という環境" 名古屋大学出版会(発表予定), 240 (1996)

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公開日: 1997-02-26   更新日: 2016-04-21  

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