研究課題/領域番号 |
05208105
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研究機関 | 明治学院大学 |
研究代表者 |
吉野 一 明治学院大学, 法学部, 教授 (50062162)
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研究分担者 |
田中 二郎 筑波大学, 電子情報工学系, 助教授 (20251043)
和田 悟 青森中央短期大学, 情報学科, 講師 (90258757)
北原 宗律 広島修道大学, 商学部, 教授 (70234268)
曾野 和明 北海道大学, 法学部, 教授 (40002258)
松本 恒雄 一橋大学, 法学部, 教授 (20127715)
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キーワード | 法律 / 推論 / 知識ベース / 知識 / 人工知能 / エキスパートシステム / 国際売買契約 / 論理 |
研究概要 |
本年度は、前年度に引き続き国連売買条約を中心とする法的知識の演繹的体系構造の解明を押し進め、国連売買条約の第2部に加えて、同法第1部および第三部の条文化された法的知識の大部分を論理流れ図で表現した。そして第3部の主要な条文の法的知識を内部表現形式である複合的述語論理式(CPF)に変換し、知識ベースに実装した。これによって、別に作成した諸設例に対して、売買契約の成立に関する推論ばかりでなく、契約に基づく権利義務関係の発生、義務履行による消滅、義務不履行による損害賠償、修理請求権等の新たな法律関係の発生、そして契約解除による契約に基づく法律関係の消滅と現状回復義務の発生に至る法律関係の全変動過程を推論することが可能となった。契約法の知識の演繹的体系構造が解明され、それが知識ベースに実装され、知識構造解明の成果の正しさが推論実験を通じて実証できたのが本研究の最大の成果である。さらに国連売買条約の分野の海外の判例を参考して、説例における「申込の十分明確性」、「申込の実質的変更」、「修理義務違反による解除権発生」等に関する拡張解釈、類推などの法的発見的推論のための知識の構造を具体的に分析し、その推論とそれを可能にする知識の枠組みを部分的に明らかにした。法的発見の推論の実現とそのための知識ベースの実装は今後の(来年度の)課題である。分析の成果はA04(法律エキスパートのソフトウェアの構築)研究班のシステム構築の利用に供することができた。また法的知識の論理流れ図作成支援システムのプロトタイプも作成した。
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