平成5年度は、国際統一売買法のなかで最も基礎的な部分である「契約の成立」に関する法律の構造を詳しく考察した。その分析結果を確認し、さらに発展させるために、知識表現言語UL/αによって、国際統一売買法のための法的推論システムLEG/1(仮称)を作成した。 LEG/1は、ある契約がある時点で成立しているか否かを推論するシステムである。 本研究の技術的な要点は、次のとおりである。 1.法的推論のための最適な知識表現を探求した。 2.継承や仮説や時間を柔軟に扱う法的推論システムを構築した。 3.よりよい解を求めるために、確信度を区間で表現してそれを計算する枠組を検討した。 4.仮説を適切に処理するために、最良優先探索法を宣言型計算モデルの計算として定式化し、部分的に実装した。 現在の課題の1つは、仮説に確実度を導入し、より現実的な推論を達成することである。これをうまく達成するには、最良優先探索という枠組が必要である。現在これを、UL/αより進んだ計算システムであるRBPTを用いて実現中であり、その概形がほぼできている。
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