研究課題/領域番号 |
05209205
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山崎 素直 東京大学, 農学部, 教授 (00011982)
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研究分担者 |
吉村 悦郎 東京大学, 農学部, 助手 (10130303)
大久保 明 東京大学, 農学部, 助教授 (20111479)
佐藤 敏生 広島大学, 理学部, 教授 (90087130)
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キーワード | 脱窒光合成細菌 / Rhodobacter sphaeroides / DMSO reductase / モリブデン酵素 / 金属酵素 / 遺伝子解析 / 立体選択的還元 |
研究概要 |
脱窒光合成細菌Rhodobacter,sphaeroides f.s.denitrificansの生産するモリブデン酵素、DMSO reductase(DMSO-R)の遺伝子解析を行い、塩基配列の結果からタンパクの全一次構造を決定することができた。精製タンパクの部分配列をもとにDNAプローブを合成し、作成したDNAライブラリーから目的遺伝子を釣り上げ配列解析を行った。その結果、この酵素タンパクのORFの上流には42アミノ酸からなるシグナル配列が存在し、これが前駆体のN末端であること、酵素は779アミノ酸からなり、そのうちシステインが9残基存在し、その中の1〜2残基が活性中心のモリブデンに直接配位している可能性が示された。本酵素および部分消化した酵素を用い、化学修飾法による配位アミノ酸残基の決定を行いつつある。前核生物の既知モリブデン酵素の塩基配列との比較から、本酵素はE.coli biotin sulfoxide reductaseと45%以上の相同性をもち、同じE.coliのDMSO-Rの35%を凌ぐ相同性を示した。高等生物のモリブデン酵素との相同性は低く、特にシステインの配列には全く相同性がなかった。部位特異的改変体の作成およびX線結晶解析によるモリブデン活性中心構造の解析を計画中である。一方、各種合成基質を調整し酵素の基質特異性を調べたところbiotin sulfoxideを含む多くのsulfoxidesに活性を示すこと、また立体選択的にsulfoxidesの還元を触媒することがわかり、本酵素の有機合成化学への応用の可能性が示された。さらに、DMSO呼吸系における本酵素への電子伝達体が不明であったので、これを分離精製し、活性のある分子量53,000のFeを含むタンパクを得た。これとは別に遺伝子の上流域を検索したところ、2種類のORFの存在が示された。単離されたタンパクとの異同、および電子伝達系における複数のタンパクの関与などについて検討中である。
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