研究概要 |
いくつかのブルー銅タンパク質(ステラシアニン、プランタシアニン、アズリン、シュードアズリン、ウメシアニン、プラストシアニン)のグラッシカーボンまたはビス(4,4'-ピリジル)ジスルフィドで修飾した金電極による直接電気化学を実現した。サイクリックボルンタンメトリーによって決定される式量電位はポテンショメトリックな方法によって決定された酸化還元電位とほぼ一致していた。電気化学的プロセスは準可逆であり、電流値の掃引速度依存性から数十から数百mV/sまでは、拡散律速な反応とみなすことができた。電解質の種類や濃度の影響から、タンパクと電極表面の相互作用は、疎水結合のみである場合や静電結合の影響が大きい場合など様々であった。ついで2-ステップボルタンメトリーを行い、スイッチ時間が極めて短い場合(20ms以下)には、タンパクが拡散や回転などをおこしておらず、電子移動可能なオリエンテーションを向いたまま電子の出入りが行われていることを明らかにした。そして、タンパクのトランスロケーションは20〜100ms程度の時間の間に起こることがわかった。また、1-ステップボルタンメトリーから、全ての場合ではないが、酸化および還元過程の不均一反応速度定数やそれらの過程の活性化パラメータを決定し、銅中心への電子の出入りが配位ヒスチジンを通じてのみ行われているという結論に致達した。さらに、チトクロムсとアスコルビン酸オキシダーゼの電子移動反応も行い、タンパクどうしの相互作用が局部的な弱い静電相互作用によっていること、タイプ1銅が電子の入り口となっていることの証拠を得た。
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