1.グアニンばかりでなくアデニンとも塩基対を形成できる異常な塩基対形成能を持つ変異原性塩基であるN^4-アミノシトシン(C^<am>)を含むオリゴヌクレオチドを合成し、その異常な塩基対形成のメカニズムの解明を試みた。C^<am>-A塩基対を含む二重鎖オリゴヌクレオチドとして、5'-GGTGC^<am>GGAG-3'/3'-CCACACCTC-5'を合成し、NMRによる解析を行なった。その結果、このオリゴヌクレオチドでは、はっきりとした塩基対形成を示唆するシグナルは得られなかった。このことから、C^<am>-A塩基対はかなり揺らぎの大きい複雑な構造を取っていることが示唆された。 2.酵母細胞のクロモソーム上でのヌクレオシド類似体の塩基対形成能を知るため、オリゴヌクレオチドを酵母細胞に直接作用させて形質転換させる方法を開発した。この方法を用いて、5-ブロモウラシルとN^6-ヒドロキシアデニンがクロモソーム上でどう読まれるを検討した。その結果5-ブロモウラシルはチミンとしてのみ読まれるが、N^6-ヒドロキシアデニンはアデニンとして読まれるばかりでなく、グアニンとしても読まれることが解かった。この方法を利用して脱塩基部位の変異誘導について現在検討を進めている。
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