分子動力学による金属の結晶成長機構の研究

1993 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 05211220
• 研究機関: 西東京科学大学
• 研究代表者: 堂山 昌男 西東京科学大学, 理工学部, 教授 (40010748)
• 研究分担者: 松井 正〓 名古屋大学, 工学部, 教授 (90013531)
• キーワード: 分子動力学 / コンピューターシミュレーション / 表面拡散 / 結晶成長

研究概要

本研究においては、分子動力学の方法を用いて、金属の結晶成長をシミュレートすることを目的として行なった。まず、純物質のN体多体原子間ポテンシャルを開発した。これらのポテンシャルを用いて、気相からの結晶成長を分子動力学を用いて計算し、その成長機構を調べた。金属那珂の相互ポテンシャルは2体ポテンシャルによっては扱えない。本研究では、いわゆるembedded atom法を用いた。面心立方格子をもつ金、銀、銅、六方晶のチタニウムについて計算した結果、面心立方で(111)最密面、六方晶で(0001)最密底面では吸着原子が非常に動きやすいことがわかった。また、吸着原子クラスターを作ると、とたんに動きにくくなることがわかった。表面との吸着エネルギーも計算した。これにより、2体ポテンシャルと多体ポテンシャルの相違が明らかになった。当然のことながらボンドの足し算では表わせない。
松井らは銅の分子動力学を用いて、銅の(100)面気相成長を動画に表わした。
以上の結果を用いてモンテカルロ計算により、銅の(111)面結晶成長、シリコンの(100)面気相成長のシミュレーションを行なった。これにより、成長速度と結晶成長の関係を明らかにした。結晶速度が速いときには面がアイランドを作りながら成長し、結晶速度が遅いときには1面1面完全に近い結晶が成長することがわかった。
これらの結果は平成5年8月末から9月初旬研究代表者が組織したInternational Union of Materials Research Societiesのsymposium D Computer Application to Materials Scienceおよび、平成5年11月末米国ボストンで開催されたMaterials Research Societyにおいて十数編の論文として発表された。

研究成果

• [文献書誌] Y.KOGURE,Y.ABE,O.KOUCHI & MASAO DOYAMA: "DETERMINATION OF PARAMETERS IN N-BODY INTERACTION POTENTIALS BY EMBEDOED FUNCTION" TRANS.MATERIALS RESEARCH SOC,JAPAN. (1994)
• [文献書誌] Y.ABE & MASAO DOYAMA: "COMPUTER SIMULATION OF CRYSTAL GROWTH OF COPPER" TRANS.MATERIALS RESEARCH SOCIETY OF JAPAN. (1994)
• [文献書誌] M.AOSHIMA & MASAO DOYAMA: "COMPOTER SIMULATION OF TENSILE DEFORMATION OF DISLOCATIONS IN TITATIUM SMALL CRYSTALS" TRANS.MATERIALS RESEARCH SOCIETY OF JAPAN. (1994)
• [文献書誌] J.IDA & MASAO DOYAMA: "COMPUTER SIMULATION OF CREATION OF DISLOCATIONS IN TITANIUM SMALL SINELE CRYSTALS" TRANS.MATERIALS RESEARCH SOC.JAPAN. (1994)
• [文献書誌] O.KOUCH & MASAO DOYAMA: "COMPUTER SIMULATION OF CRYSTAL GROWTH OF SILICON" TRANS.MATERIALS RESEARCH SOC.JAPAN. (1994)
• [文献書誌] M.SHIBATA & MASAO DOYAMA: "COMPUTER SIMULATION OF SURFACE DIFFUSION OF GOLD" TRANS.MATERIALS RESEARCH SOC.JAPAN. (1994)