研究概要 |
本研究課題では,次の各点に関して研究を進めた。 ・基本構造の設計 半構造化状態でシステムに格納されたデータに対して,段階的かつ構成的にデータベースのスキーマ構造を生成し,利用する過程を支援する科学技術データベースとしてシステムの基本構造を与えた。ここで,特に,利用者が様々な視点に基づいて資料の整理を行なう点に注目し、視点をスキーマに格納する手段として視点付き属性を導入した。更に、この視点付き属性を付加した資料を効率的に操作する為の仮想オブジェクトとして視点付きオブジェクトを定義した。視点集合に階層を定義することで,利用者は多様な観点から射影される視点付きオブジェクトを操作できる。 ・アクティブマーカーの設計 研究者の分類作業を支援する機構としてアクティブマーカーの概念を導入した。アクティブマーカーは,データベースの構造の変更の監視,利用者のマーク付け操作の監視を行う。データの部分領域の同定にはアンカーオブジェクトが用いられ,アクティブマーカーは,Event-Condition-Actionルール機能を持つアンカーオブジェクトとして実現されている。 ・システムの実装 木簡研究支援システムのプロトタイプシステムを商用OODBMSであるGemStoneを用いてワークステーション上に開発した。格納された各木簡オブジェクト群や,後に定義される部分領域オブジェクト群を柔軟に分類するために,カテゴリーと呼ばれるオブジェクトの階層構造を段階的に定義できるようにした。その上,視点付きオブジェクト機能(の一部),及びアクティブマーカー機能を実現した。 ・木簡資料のデータの整備 現在データが入手できる中国居延出土木簡(居延旧簡)に関する木簡に関するテキストデータをパソコン上で木簡研究者と共同で整備した。テキストデータは,各木簡の釈文と人名,地名,官名,年号の索引からなる。
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