研究概要 |
蒸発材料としてInおよびSbを用い、キャリアガスとしてはHe、Arを用いて、二元の蒸発源(K-cell)からの同時蒸発を行い、合金微粒子の作製を行った。単一金属の蒸発や真空蒸着膜の実験も比較のために行った。それらの結果は次の通りである。 【.encircled1.】He圧7Torr、流速3m/sのガス流中でInの場合に1550℃以下、Sbで700℃以下の温度で蒸発すると、蒸発源から350mmの位置では下地上に膜成長が、1150mmの位置では超微粒子の堆積が認められた。 【.encircled2.】粒径約30nmのSb微粒子の電子回折図形はアモルファス様のハローであり、電顕観察中の電子ビーム照射で容易に菱面体構造のデバイ・リングを示した。通常の密封ガス中蒸発法では全て菱面体構造の結晶微粒子が得られるのとは異なる点であり、本方法が急冷効果の高いことを示すものである。ハローを示す状態から結晶化後まで、個々の粒子の外形は保存されたままであった。 【.encircled3.】InとSbの同時蒸発によって得られる微粒子あるいは膜の組成は、K-cell温度の制御によって容易に変えることができた。しかし、化学量論比1:1をねらった蒸発条件においても、一般にInSb,InおよびSbの3相の構造が存在した。ガスの流れの中へ蒸気を噴き出すためのK-cellの取り付け位置の制約によって、蒸気の均一な混合が達成されていないこともその原因の一つと考えられる。InSb微粒子(せん亜鉛鉱型構造)は、更に内部に微細構造を有していることが、明視野および暗視野像から分かった。 【.encircled4.】単体および合金微粒子の双方において、本法で作製する粒子の粒径は極めて小さい。本方法においても、Arを用いるとHeの場合より粒径が大きくなるという傾向が得られた。
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