研究概要 |
本年度は、昨年度までの高反射率水塊のCZCSデータによる観測例を踏まえて、海域を三陸沖から北西太平洋域に拡大し、高反射率水塊の検索を行った。そして、北西大平洋の高反射率水塊の出現時期、出現頻度、出現場所について調査を行った。1940シーンを検索した結果、そのうちの22シーンに円石藻に由来すると考えられる高反射水塊が現れていた。高反射率水塊の出現時期は、昨年度までの本研究と同様5〜9月であり、出現頻度の多い月は6,8,9月であった。出現場所は、およそ35°〜48°Nの範囲の特に155°R以西の北海道・三陸東方沖の海域に多いことがわかった。一方、日本海、オホーツク海では全く見られず、これらの海域での円石藻類のブルーミングの可能性は低いと考えられる。また、AVHRRデータから得られた鹿児島湾の高反射率水塊の観測と船舶によって観測された円石藻類のブルーミングとの対応について検討した。4月17日〜5月22日のAVHRRの解析から、高反射率水塊が5月1日〜5月13日の間に現れており、鹿児島水試による円石藻(G.oceanica)が観測された時期とよい反応が見られた。メイン湾の円石藻(E.huxleyi)の観測では、ブルーミングによって約7%の反射率の増加の報告がされているが、これに対し本研究の鹿児島湾での観測では約9%の増加が見られた。船舶観測による細胞数、剥離円石数を比較したところ、鹿児島湾の場合、細胞数がメイン湾と比較して多い反面、剥離円石が見られず、過去の観測例から見てこれは珍しいブルーミングの状態であることがわかった。今後は、衛生データから得られる反射率の違いが、ブルーミングの状態とどのような関係にあるかを調べる必要があると考える。
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