本年度は、FP共振器を構成する鏡の支持法と測定される雑音の関係を重点的に調べた。これは、測定される雑音レベルが鏡の支持法に非常に敏感であったためである。そして、光共振器を構成するアルミニウム製の支持台の形状とそれを支える機械系の改良により、平坦なスペクトルの雑音が得られるようになった。そして、その値自身も1.2×10^<-16>m/√<Hz>という感度で、レーザーを全く安定化しないで得られた感度としては非常に良いものである。しかし、この大きさは原理的な雑音である散射雑音のレベルよりかなり大きいものだったので、その原因をいろいろな方法で探した。そのなかで、測定した機械系の伝達関数の振る舞いに不可解な点が見つかり、現在は、これが雑音を発生しているのではないかと考えている。それは、本来、共振点からはずれた点では、損失を表す伝達関数の虚数成分はほとんど見えないはずのものが、測定ではかなり大きな値を持っている事である。それが、純粋に力学的な損失ならば、散逸揺動定理から分かるように熱雑音が発生する。この現象がマクロな力学系で測定された例は希である。 いずれにしろ、非常に短い光共振器を動作させて、きちんと感度を測定したのは初めてのことであり、光学系等の基本動作を確認するという目的は十分に果たされたと考えている。現在、この結果をReview of Scientific Instrument誌に投稿する準備をしている。
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