研究概要 |
平成4年度に設計した並列オブジェクト指向言語の実行モデルを改善するとともに,言語処理系の試作とシミュレーション実験を行った。以下に,具体的な内容について整理する。 1.実行モデルの改善 (1)オブジェクトロードの高速化: ホストから各ノードへのオブジェクトの転送を高速化するため,クラスやインデックスト・オブジェクトのアドレスをすべてのノードで統一し,ブロードキャストすることとした。 (2)メソッド起動の高速化: メッセージを受信してからユーザメソッドを起動するまでの時間短縮を目的として,変数宛以外のメッセージセレクタを受信先オブジェクトのメッセージ辞書のアドレスとし,実行時のメソッド探索を不要にした。 2.並列プログラミングの支援 並列オブジェクト指向のプログラミングの支援を目的として,以下に述べる専用の環境を構築した。 (1)コンパイラ: 上に述べた実行モデルの改善を達成するための改訂を行った。具体的には,従来動的に決定していたオブジェクトのロードアドレスをコンパイル時に決定し,OSが行っていた実行モジュールの再配置を不要にした。 (2)統合プログラミング環境: 平成4年度から進めてきた専用プログラミング環境の開発を継続して行った。今年度は,プログラムの編集から実行までを統合的に行える環境を整備した。 3.今後の課題 言語処理系,OS,シミュレータの改訂がほぼ終了した。今後は,シミュレータを用いて性能評価を行う必要がある。また,より並列プログラムの開発が容易になるよう,イベント履歴に基づくプログラム実行のリプレイなどをサポートした並列デバッガを現在構築中である。
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