研究概要 |
本年度は,平成4年度に構築した人間の各肢協調動作運動解析に適した計測解析システムに,新たに評価システムを加えた.さらにこのシステムに力学シミュレーションを可能とするソフトウェアをインピリメントした上で,全てシステムによる基礎実験を行った.運動実験の例としては,手・腕の協調が主となる弦楽器演奏,全身の協調が必要とされるウェイトリフティングを採りあげた.具体的内容を以下に示す。 1.弦楽器演奏 右腕ボーイング動作決定のための評価基準を求めるため,ボーイング動作中の右腕上肢各関節の角躍度(角加速度の時間微分),およびトルクの総和を求めた.その結果,熟練者は,動作の滑らかさを表わす指標である角躍度を最小にするように動作を決定していることが明らかとなった. 2.ウェイトリフティング 人体矢状面投影骨格リンクモデルを構築した上で,モデルに基づく力学演算部ならびに入力角度パターン生成部から成る矢状面動作シミュレーションシステムを作成した.そのシステムを,スナッチ種目における全身運動に適用してシミュレーションを行なった結果,バーベル加速を運動初期に行うことで必要エネルギを軽減できること,競技者個人の体形差によって各関節トルクの負担が異なっていることなどが明らかとなった.またこれらの結果より,ウェイトリフティング動作における効果的な練習方法の指針の作成を行った.
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