Ti-Al系金属間化合物を実用化する際に問題となる高温環境との共存性を解明する一助として、硫黄との反応挙動について、実験的に調査した。 Ti-Al合金は酸素の親和力が非常に強く、本研究では、装置の配管系をステンパイプに交換し、高純度水素-硫化水素混合ガスを使用して、酸化の影響を軽減する方策を取った。しかし、完全にその影響を除去する事は出来なかった。 硫化腐食速度は、アルミ濃度の増加とともに指数関数的に減少したが、その勾配は、温度が上昇するとより小さくなった。しかし、TiAl_3合金では、非常に小さい腐食速度を示した。 TiAl合金の硫化腐食では二段階の腐食速度があらわれ、反応初期にTiSとAlSの混合スケールが、後期では、その他に、TiSの内層が形成された。この内層の形成に対応して、合金表面にはTiAl_3層が形成し、それにともなって、硫化速度は低下した。 TiAlにSiを3%添加した三元系合金では、反応の初期から内層が形成し、同時にTiAl_3層の形成が認められた。 これらの挙動は、それぞれの硫化物の形成傾向と合金中の各元素の活量から、合理的に説明できる事が明かとなった。 これらの現象は、さらに、他の元素にも適用できる可能性があり、現在、検討中である。
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