研究概要 |
本研究の目的は、新しい高温メスバウア分光により室温から融点付近(<1500℃)までの全温度領域に於て、Ni-Al-X基合金(X=Fe)の状態を高温で直接調べることにある。本年度は、先ず、高温測定に必要なメスバウアプローブ原子^<57>Feを含んだ金属間化合物試料(0.1〜1cm^3)を溶解するための電子銃(エイコー・エンジニアリング、3kW2連電子銃、MB5032)を購入し、本学工作センターで作製した超高真空チェンバーに組み込み、試料作成を可能にした。 次に高温領域で出現が予想されるNi_3Fe,NiFe,FeAl等の様々な相のスペクトルの測定を、現有する超高真空高温メスバウア測定炉(10^<-6>Pa)で、融点直下まで、その安定性や物性を系統的に調べている。従来の測定は大部分が急冷試料でなされており、このような基礎データの収集は重要である。これに平行して、試料を超高真空中で蒸発させず融点直下まで長時間測定するために、適切な試料キャプセル(アルミナ、ベリリア等)を現在探している。 さらに、試料の熱処理過程や作製過程を高温メスバウア分光を用いて制御する方法を確立するために、^<57>FeとAlの箔を適当な濃度比になるようにサンドウィッチにして、メスバウア測定炉で相互拡散させた。これを高温で直接メスバウア・スペクトルを測定することにより、FeとAlが相互に拡散し、FeAl(B2)が生成される過程を直接観察することに成功した。
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