研究課題/領域番号 |
05224232
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
高田 潤 岡山大学, 工学部, 教授 (60093259)
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研究分担者 |
冨井 洋一 京都大学, 工学部, 講師 (90026245)
難波 徳郎 岡山大学, 工学部, 講師 (80218073)
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キーワード | Bi系酸化物超伝導体 / 2223相 / 破壊 / 非晶質 / 臨界温度 / 熱的安定性 |
研究概要 |
Bi系2223相は線材などへの実用材料として有用にもかかわらず、この相の本質的な性質、特に熱的安定性(アニールによる変化)や機械的粉砕による変化とその後の再生成については現在もなお十分明らかにされたとは言い難い。従来の研究では、前者の性質は全く知られておらず、また後者の変化についてもほとんど注目されていなかった。これらの性質を究明することは、高品位な材料(例えば組成を制御した線材や高純度な材料)を作製する上で必要不可欠である。そこで、本研究ではこれらの2223相の本来の性質を明らかにすることを目的とした。 本研究では、まず2223相結晶本来の熱的安定性明らかにするために、Pb置換2223相単相Bi_<1.8>Pb_<0.4>Sr_<2.0>Ca_<2.0>Cu_<3.2>O_zのバルク試料を用いて、種々の温度でアニールした場合の第二相の生成とそれに伴う2223相の組成、構造および超伝導特性の変化を検討した。Pb置換高温相は酸化性雰囲気では600〜800℃でSr_<2.5>Bi_<0.5>Pb_3Ca_2CuO_zを析出し、Pb-poorな2223相に変化する。また、この析出物は850℃の再加熱で2223結晶中へ再固溶する。この析出と再固溶反応は、850℃ではPbは高温相中で相中でPb^<2+>として安定であるが、600〜800℃ではPb^<4+>が安定であることを示唆している。 次に機械的粉砕によって2223相が通常の酸化物では考えられないほどの超微細な結晶や非晶質に変化することを明らかにした上で、これらの超微細粉の再加熱時の変化を検討した。超微細粉を再加熱すると複雑な反応が起こり、温度に依存して種々の相が生成する。850℃の再加熱では液相が多量に生成し、2223相粒子の再生成は起こらない。また、超微細粉と細かい2223相の混在試料では、800℃以下で種々の相が生成するが、850℃の再加熱で2223相が再生成しその単相となる。この2223相の再生成過程は、通常の酸化物と炭酸塩の原料からの2223相の生成過程と異なることが明らかとなった。 以上の結果は高品位材料や特性のよい線材を作製する上で、極めて重要な指針を示している。
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