研究概要 |
私達は国内の4研究室(電通大,京大,東大教養,明治学院大)と外国の1研究室(スペイン)から提供された有機化合物試料における強磁性の発現を希釈冷凍機中で交流磁化率やM-H磁化曲線を測定して調べた。その結果、芳香族メチレンアミノ基をもつTEMPOラジカルをはじめとする6個の異なった化合物において0.07〜0.5Kの温度領域で強磁性転移を確認した。それぞれのグループの化合物は構造をはじめ全く異なった性質の物質であることを考えると、本研究で調べたような温度領域では有機強磁性の発現は相互作用は小さいながらもかなり普遍的な現象であることがわかった。今後の研究の方向としては、どのような条件下で(どのようなラジカルで、どのような構造で)強磁性転移温度が高められるかを系統的に調べることであろう。本研究の成果は1篇発表済み、3篇投稿中で、残り2篇は投稿準備中である。本研究では、有機強磁性以外にも現在話題のハルデン系物質特有の現象も確認した。
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