研究概要 |
立体選択的・特異的反応の遷移状態をab initio分子軌道計算により求め、遷移状態の結合モデルを提案し、それに基づいて遷移状態の電子構造を解析して、立体化学的反応経路を支配する因子を明らかにした。 まずE2反応をモデルにして、トランス脱離の原因が定説とほぼ一致することを確認し、遷移状態の結合モデルが有効な理論モデルであることを示した。 次に、一置換アレンへのジアゾメタンの1,3-双極子付加反応のπ面選択性に応用し、軌道位相の連続性が重要な因子であることを新たに見い出した。 また、軌道混合則による軌道のひずみと5-置換シクロペンタジエンのジールス・アルダー反応のπ面選択性の関係を理論的に予測し、理論計算で検証するとともに実証した。 さらに、三重項状態における軌道位相の連続条件を導き、三重項ラジカルの安定性を予測するのに成功した。
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