研究課題/領域番号 |
05228102
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
谷本 盛光 愛媛大学, 教育学部, 助教授 (90108366)
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研究分担者 |
松田 正久 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (30111868)
小出 義夫 静岡県立大学, 国際関係学部, 教授 (40046206)
林 武美 皇學館大学, 文学部, 教授 (50033832)
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キーワード | 電気的双極子モーメント / ワインバーグオペレーター / CP対称性の破れ / 中性ヒッグススカラー / グニオン-ワイラーオペレーター |
研究概要 |
当研究は、CP対称性の破れの起源を中性子の電気的双極子モーメント(EDM)に焦点をあて検討したものである。Weinbergによって発見された3-gluon operatorとGunion-Wylerによって提唱された次元5のquarkとgluonからなるoperatorは中性子のEDMに大きな寄与をすることが指摘されてきた。当研究では、Two Higgs Doublet Modelを用いこれらの二つのoperatorの中性子のEDMに対する寄与を定量的に調べた。Two Higgs Doublets Modelでは荷電Higgsの交換によってCP対称性の破れは引き起こされない。しかし、これらのoperatorは中性Higgs Scalar交換で生じるため、CP対称性を破る。CP対称性を破るparameterは中性Higgs質量行列から理論的に計算する必要がある。この値はtanβ>>1、tanβ(〕 SY.simeq. 〔)1、tanβ<<1の場合に簡単な形で与えられることが判明した。つぎに、これらのoperatorからEDMを導くためには、ハドロン行列要素の評価が必要である。これまで、それは最も単純にはNaive Dimensional Analysisによって与えられているが、この手法はせいぜいオーダー評価のものである。当研究では、より現実的評価のため、single nucleon poleとnucleon plus one pionの中間状態を取り入れて計算した。その結果、以下のことが判明した。 1.Two Higgs Doublet Modelでの中性子のEDMの予測値は、ほとんど実験の上限に迫っている。 2.WeinbergのoperatorとGunion-Wylerのoperatorの中性子のEDMに対する寄与は部分的に相殺する。 3.Gunion-Wylerのoperatorの寄与のほうが大きい。 4.二つの中性Higgs Scalarsはほとんど縮退している可能性があり、その場合、CP対称性の破れは二つのHiggs交換によって相殺され、非常に小さくなる。 EDMは新しい物理をさがす上で非常に有用である。とりわけ、gluonを含んだoperatorの寄与は大きく、このoperatorに関与するSUSY等の新しい物理も検討してみる必要がある。
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