研究概要 |
量子群はHopf環またはHopf^*環を用いて記述される。その双対性を論ずるには、この枠組みでは少しゆるすぎることがわかっている。そこで、局所コンパクト群の量子化として知られるKac環の場合に成された双対定理の考え方を援用して、量子群の双対定理が成り立つようなカテゴリーを問題にしたところ、Woronowicz環なる概念に到達した([3,5])。したがって、既知の量子群がこのカテゴリーにどのように適合するかが問題になる。すでに、量子群SU_q(n),n〓2がこのカテゴリーを用いて論じられることがわかっている([5])。また、Lie環sl(2,C)はLie環su(2)の複素化と同一視できるので、つぎには、非コンパクトな量子群として量子Lorentz群SL_q(2,C)を量子群SU_q(2)を用いて考えた。この量子群に対してはDrinfeldや神保によるHopf環としての捉え方と、Podle〓-WoronowiczによるHopf^*環としての捉え方とがあるが、ここでは後者を用いることにした。その結果、Woronowicz環の条件の内、Haar荷重に関する強左不変性以外の条件に対して、その確認をすることができた。Podle〓-Woronowiczによる結果から判断して、強不変性もいずれ確認可能と思われる。したがって、量子Lorentz群もWoronowicz環のカテゴリーで論じることができるだろう。また、この量子群はユニモジュラーと考えられている。そこで、つぎは、非コンパクトかつ非ユニモジュラーな量子群として、SU_q(1,1)を問題にしたと考えている。
|