研究概要 |
三次元多様体の研究は,Thurstonによりhyperbolic geometryの手法が導入されたことにより近年飛躍的な発展をとげつつある。さらに最近Gromorによりhyperbolic groupの概念が導入され,その研究が組合せ群論もふくめた多様体の基本群の研究を活気づけている。そこで負曲率群の多面的な研究を行ない,それにより三次元多様体の基本群の構造をより明らかなものとし,三次元多様体の新しい研究方法を開発することを目標として研究をおこなった。 まず研究代表者自身は,群のHNN分解に注目し,あたえられた群のHNN分解の共役類のなす集合の上に距離関数を導入し,その性質を考察した。群のHNN分解は三次元多様体内の非圧縮曲面によって基本群に関して自然に生づるもので重要である。これをさらに結び目群のHNN分解の場合に結び目のSeitert膜との関係においてその幾何的な対応について考察をおこなった。 また,熊本大学理学部助教授神島芳宣氏と東京工業大学理学部助教授小島定吉氏と共同で東京工業大学国際交流会館において平成6年2月7日から2月10日にかけて,“Symposium on Geometry of 3-Manifolds and Fundamental Groups"をおこなった。このシンポジウムには,Peter Scott氏 Steven Kerckhoff氏などの世界的な研究者が参加し講演され,たいへん有意義なものであった。(添付書類)
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