研究分担者 |
藤井 敏嗣 東京大学, 地震研究所, 教授 (00092320)
大谷 栄治 東北大学, 理学部, 教授 (60136306)
巽 好幸 京都大学, 総合人間学部, 教授 (40171722)
高橋 栄一 東京工業大学, 理学部, 教授 (40144779)
河村 雄行 東京工業大学, 理学部, 教授 (00126038)
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研究概要 |
3年間の領域研究によってマグマの性質およびその発生とダイナミクス、火山の起源,地球史におけるマグマ活動などの分野で,それぞれ大きな成果が得られた.また,異なる分野の研究者が協力して研究する中で,互いに議論し意見を交換することにより,それらの研究者が視野を広げ,理解を深めたこともマグマ学という新しい研究分野を確立するという当初の目的に合致している.具体的研究成果のうち特に重要なものを列挙すると次のようなものがある. ・圧力13-15GPaの限られた深さにおいて,オリビンや輝石がマグマよりも軽くなることが超高圧実験によって明らかになった.このことにより,初期地球のマグマオーシャンにおける結晶分化の定量的シミュレーションが可能となった. ・地震予知や火山噴火予知グループと協力しておこなった地震観測の結果と貫入火成岩体の地質学的・岩石学的調査,火山岩の解析結果を組み合わせて,島弧における火山の根のモデルが構築された. ・ダイヤモンド粉末法の開発により,種々の圧力でのペリドタイトの融解によるマグマの組成が精度良く求められ,中央海嶺玄武岩マグマなどの成因に関する議論が定量的に検討できるようになった. ・高温高圧下での金属鉄と珪酸塩メルト間,および中・下部マントル鉱物とメルト間の元素分配実験の結果,多くの元素のマントル存在度は下部マントル深部におよぶマグマオーシャンにおける高圧鉱物の分化により説明できることが明らかになった. ・超高圧下においてマントル鉱物と共存する水が多量のシリケイト成分を溶解し,含水マグマとほとんど変わらない化学組成を持つことが判明した.このことは初期地球におけるマントルの分化に水が大きな役割を果たした可能性を示唆する.
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